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男性国家公務員に求められる育休が最低1カ月である理由が見えてきたかも

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男性の育休取得率。
少しずつ上がってきていますが、高いとは言えません。
いや、女性とは比べられないほど低い。

2015年度 2.65% (81.5%)
2016年度 3.16% (81.8%)
2017年度 5.14% (83.2%)
2018年度 6.16% (82.2%)
2019年度 7.48% (83.0%)
令和元年度雇用均等基本調査より ( )は女性の取得率

新シリーズ
「なぜ、男性の育休は広まらないのか?」

8カ月の育休を取得してみて、感じたり考えたりしたことをお伝えしていきます。

国家公務員の育休制度

国家公務員には、配偶者出産休暇2日と育児参加のための休暇5日を合わせた合計7日間の有給休暇の制度があります。

政府が進めている「男の産休」は、この制度を利用したものです。

国家公務員の「男の産休」の5日以上の取得率は、79.6%(2019年度)。
女性の育休並みに高い。
それに対し、男性の育休取得率は、16.4%(2019年度)とまだまだ低い。(内閣官房内閣人事局「国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ」)

男性の国家公務員が育休を取得する期間(2019年度)は、約70%が1カ月以下。
 ◇ 1カ月以下     68.4%
 ◇ 1カ月超3カ月以下  15.5%
 ◇ 3カ月超6カ月以下       7.8%
 ◇ 6カ月超9カ月以下  3.1%
 ◇ 9カ月超12カ月以下   3.6%
 ◇ 12カ月超24カ月以下 1.4%
 ◇ 24カ月超                 0.3%

次に、国家公務員の育児休業の制度について調べてみました。

国家公務員は最長で子どもが3歳に達する日まで育休を取得することができます。

国家公務員は雇用保険に加入していないため、育児休業給付金は給付されません。
代わりに、共済組合から、育児休業手当金が支給されます。

支給期間は最長で1年間分です。
支給額は標準報酬日額の67%(180日超は50%)で、雇用保険の育児休業給付金の相当額が上限となっています。

標準報酬日額には、俸給額だけでなく、いくつかの手当が含まれます。
公務員の手当は固定給の性質をもつ場合が多いようです。
そのため、標準報酬日額は俸給額を勤務日数で割って求めた値よりも大きくなります。

うらやましいところ

多くの会社の制度と異なるのは、次の2点です。

■在級期間
まず、在級期間という考え方です。
これは昇給に関係します。
国家公務員の場合、育児休業中も在級期間に含まれるため、たとえ3年の育休を取得しても、その期間の昇給が止まることはありません。
育休を取ったら同期よりも俸給が低くなった、なんてことは起こらないということです。
これは、素晴らしい制度です。
少なくとも、育休の取得がマイナス要素だという印象を与えないことになります。

私が見た資料には、退職手当のことも触れてありました。
退職手当を計算する際には、育休を取得した期間は3分の2の在職として計算されるようです。

■ボーナス
国家公務員の場合、期末手当と勤勉手当を合わせたものがボーナスという考え方です。
2020年度の乗率は、夏と冬を合わせて4.39カ月分です。
その内訳は、期末手当が2.55カ月分で勤勉手当が1.84カ月分になっています。
育児休業を1カ月取得した場合、期末手当は満額支給されます。
減らないのです。
勤勉手当は5カ月以上5カ月15日未満となり90%の支給です。
勤勉手当の10%分が支給されないということになりますが、期末手当と勤勉手当を合わせたボーナス全体からすると約2%となり、98%が支給されるということになります。

なるほど、だから最低1カ月なのかも

国家公務員の育休制度では、育休を取っても昇給が停止しない
1カ月の育休ならば、ボーナスはほぼ満額支給となる。

特に、ボーナスのほぼ満額支給って、うらやましいです。
1カ月ならば、育休取ってもいいかなと思う気持ちが芽生えます。

育児休業手当金が支給されている期間は、社会保険料が免除され、実質換算で約20%の収入減になります。
(標準給与月額が40万円ならば、実質換算で約8万円の減収となります。)

そして、取得する期間が1カ月ちょうどならば、1カ月以上の育休とカウントすることができます。

国家公務員の育休制度は、最先端の制度とは言えません。
でも、私の職場の制度と比べて育休を取得のしやすい部分が多々あります。
恵まれている制度だと思います。

特に、1カ月程度の短期間ならば取得しやすい制度だと感じます。

男性の育児参加を促すならば、1カ月の育休では短い

男性の国家公務員が旗振り役と期待されています。
公務員の方々には、最低1カ月の育休取得が推進されています。

私は8カ月の育休を取得しました。
1カ月が過ぎた頃のことを思い返してみると、毎日やらないといけないことを、ただひたすらこなしていただけでした。
当時、育児に参加できているという実感は全くありませんでした。

このような私の経験からすると、1カ月程度の育休では、男性の育児参加に大きな影響はほとんどないと思います。
1カ月の育休でも、できることはあります。
ただ単純に、男性の育児参加を促すには、1カ月の育休では短いのです。

私の産後1カ月目までの赤裸々な育休生活については、これらの記事をご参考ください。

国家公務員の方々が、1カ月の育休を取得しても、年収にほとんど影響はありません。

「年収にほとんど影響のない1カ月の育休なら推進しやすい。」

もし、これが理由で最低1カ月の育休を推進しているならば・・・。
年収にほとんど影響のない男性国家公務員の方々の育休取得率は、今後、高まっていくことでしょう。
でも、年収に影響のある、日本社会のほとんどの男性たちに育休が広まっていくことは、期待できないような気がします。




この記事の続編もぜひご覧くださいませ
男性国家公務員 育休取得率99%の裏事情を探ってみた話

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