常識を変えた男性育休の必須化で、大きな変化が起きたリクルートさん
前回の記事から、男性が育休を取得しやすい取り組みをされている企業を調べ始めました。
先進的な企業の取り組みの中に隠れている、日本でも男性育休が広まっていくヒントをつかみたいと思っています。
男性育休の取りやすそうな企業
第2回
株式会社リクルート(以前は株式会社リクルートコミュニケーションズ)さんです。
男性の育児休暇を必須化
多くの会社では、特別休暇を取得できる権利を従業員に与え、その権利の行使を個々に選択させています。
リクルートさんにも、配偶者の出産前後に2日間の休暇が取得可能な制度がありました。
2016年、リクルートさんでは、男性社員の育児休暇を必須化しました。
育児休業給付金が支給される育児休業ではなく、特別休暇にあたるものです。
2日間取得可能だった制度を変更し、最大20日取得可能とし、うち5日は必須としました。
つまり、男性は、必ず5日間の特別休暇をとらないといけないとしたのです。
1歳になる月の末日まで、1日単位で何回に分けて取ってもよいという制度です。
必須化で常識を変える
男性が育休を取ることが普通でない会社には、ある常識があります。
男性は、出産や育児のために仕事を休むものではない。
以前のリクルートさんにもあった、この常識。
リクルートさんでは、この常識を変えることで、変化を起こそうとしたのです。
当時のリクルートさんは、働き方改革に着手するところでした。
男性育休の必須化が、その先陣を切りました。
男性育休の必須化により、リクルートさんでは、男性も育休を取得することが当たり前の空気が作られました。
みんなが育休を取れば、育休を取るのが普通になります。
今や、リクルートさんでは、男性は育休を取るのが常識。
それまでの常識を変えることができたのです。
常識を変えたことで起こった変化
男性育休の必須化により、常識が変わったリクルートさん。
常識を変えたことで、リクルートさんに、様々な変化が起き始めました。
女性マネジャー比率や女性管理職比率。
それまで、決して高くはなかった女性の比率。
それが、男性育休の必須化後には、マネージャー比率は約40%、管理職比率は25%です。
リクルートさんでは、新卒採用の40%弱が女性ですので、男女で差のないマネージャー比率になっているように受け取れます。
女性管理職比率も高まりましたが、マネージャー比率のようには高まっていません。
管理職よりマネージャーの方が年齢層が低いことでしょうから、この状況が数年続けば、管理職比率も高まっていくことでしょう。
そして、労働時間。
外から垣間見るリクルートさんのイメージは、長時間労働。
私の知人にもリクルートさんに就職した方が見えますが、当時はかなりの長時間労働だったと聞いています。
必須化以前には、時間をかけて仕事をすることが評価されてたということでしょう。
さらに、成果主義の導入もあり、毎日会社に出勤することが常識ではなくなっているようです。
時間をかけたから良い成果が得られたのではない。
少ない時間で同じ成果を得ることができれば、他のことに時間を割くことができるようになる。
他のこと、それは人により異なってくることでしょう。
ある人は育児、別の人は介護、趣味。
なかには、とことん仕事の人もいるのかもしれません。
リクルートさんでの男性育休の必須化は、様々なライフステージや家庭環境のもと、従業員がそれぞれの生活を維持しながら、継続的に成果を発揮することのできる組織づくりへとつながっていったのです。
子どもの急な発熱
同じ職場に、子どもの急な発熱で、休むママがいたとします。
どう思いますか?
育休を取る前の私なら、休むこと自体を非難していたと思います。
少しだけ意識が高くなったと思っている今でも、ワーママが連続3日も休めば、心の中では非難する気持ちが生まれ始めるかもしれません。
私の意識が本当に高まれば、休むことを「お互いさま」と思えるようになるはずです。
ワーママが連続して3日も休めば、自分の子どものことのように、その子どものことが心配になるはずです。
そして、子どもが熱を出したときに休むのは、なぜいつもママなのだろうと、社会の風潮に疑問を抱くようにもなるでしょう。
「子どもの発熱でパパが休むなんて聞いたことがない」という声も聞こえてきます。
職場の意識の低さが、見事に表れています。
リクルートさんでは、急な発熱で休んだとしても、「お互いさま」と思われることでしょう。
そして、ワーママだけでなく、ワーパパが子どもの急な発熱で休むことも普通のことになっているのだと思います。
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2021年6月12日「男性育休の必須化で常識を変えたリクルートさんに起きた大きな変化」からタイトル変更しました。
2021年6月12日「男性育休の取りやすそうな企業(2) ─ 株式会社リクルートさん ─」からタイトル変更しました。