男性国家公務員 育休取得率99%の裏事情を探ってみた話
正直、99.0%に驚きました。
昨年度の取得率16.4%からは想像できません。
あまりにも急激な増加です。
何があったのか。
報道されていない裏事情を探ってみました。
ほぼ全員が平均50日の育休取得
2020年4月から6月における男性国家公務員の育休取得率が99%だったと発表されました。
「男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の取得促進に係るフォローアップ」(内閣官房内閣人事局)には、「令和2年度第1四半期に子供が生まれた男性職員のほぼ全員(99.0%)が育休等を 取得。平均取得日数は50日であり、取得の目途としていた『1か月』を大きく上回った。 取得者のうち約9割(88.8%)が1か月以上取得。」と書かれています。
素直にすごい!と思いました。
男性国家公務員の育休取得率
■ 2018年 12.4%
■ 2019年 16.4%
■ 2020年 99.0% ※4月から6月まで
内閣官房内閣人事局(2021)「国家公務員の育児休業等の取得状況のフォローアップ」および内閣官房内閣人事局(2021)「男性国家公務員の育児に伴う休暇・休業の取得促進に係るフォローアップ」より
昨年度まで16.4%だった男性国家公務員の育休取得率。
それが、何と!99.0%に。
飛躍的な増加です。
そして、平均取得日数は50日。
2019年度のものは、平均2.0カ月と発表されています。
資料から読み取ると、2019年度の取得日数の中央値は「2週間以上1月以下」にあります。
2020年度の中央値は「1月超3月以下」にありそうです。
ホントは育休取得日数43日じゃない?
資料をじっくり見てみたら「取得実績とは、育児に伴い取得した休暇(育児に伴う休暇と連続する週休日や祝日等を含む。)・休業の実績をいう」と書いてあります。
国家公務員には、政府が進めている「男の産休」、政府の配偶者出産休暇2日と育児参加のための休暇5日を合わせた合計7日間の有給休暇の制度があります。
2019年度には、79.6%の男性国家公務員が「男の産休」を使用しています。
育休を取得する人よりも有給である「男の産休」を使用する割合の方が高いはずです。
ということは、2020年度には、99.0%以上の方が「男の産休」を使用していることになります。
2019年度のデータと比べるためには、純粋な育児休業だけを見なければなりません。
したがって、2020年度の育児休業平均取得日数は少なくとも43日になるはずです。
さらに、連続する週休日や祝日等が絡んでくることを考慮すれば、もう少し少なくなるかもかもしれません。
育休を2回に分割して取得している?
以前、私の投稿した記事 ↑ に間違っているところがありました。大変失礼いたしました。
国家公務員が1カ月以下の育休を取得すると、ボーナスのうち期末手当はそのまま支給され、勤勉手当は減額されるとお伝えしていました。
実は、2016年度から勤勉手当も満額支給されていました。
こちらの資料で確認しました。
国家公務員は育休を2回に分割して取得できるようになっています。
私たちも、2022年10月1日から育児休業を分割して取得できるようになります。
国家公務員は、2022年4月から4回に分割できるようになります。
話を戻します。
99.0%の男性国家公務員が平均50日(実は43日?)の育休を取得しました。
出生後8週間以内の平均取得日数は20日と資料に書かれています。
あれ、なぜでしょう?
8週間は56日ですから、連続している育休ならば8週間以内の平均が50日となるはずです。
そうです、分割しているのです。
30日(1カ月)の育児休業と「男の産休」7日間の有給休暇を加えると、連続して37日。
資料のデータをみると、ほぼすべての省庁で出生後8週間以内の育休は37日以下です。
8週間以内に1カ月以下の育休を取得していることが分かります。
8週間を超えたどこかのタイミングで、二度目の育休を取得していることになります。
イメージとしては、パートナーの出産に合わせて一度目を取得し、家庭の状況に合わせて数カ月後に二度目を取得。
ならば、こんな感じで分割すると思いませんか?
一度目 出生後8 週間以内に1カ月以下の育休
二度目 次のボーナス支給日以降に再び1カ月以下の育休
このように分割すると、夏も冬もボーナスが満額支給になります。
やはり、ボーナスの満額支給はうらやましいものです。
裏事情を表にしてほしい!
育休取得率99.0%、平均取得日数50日。
男性国家公務員の方々の行動は本当に素晴らしいものです。
この行動を否定することは誰にもできません。
裏事情を探ってみた結果、50日の育休を取ってもボーナスは満額支給だったことが分かりました。
この男性国家公務員の裏事情を表にしてほしいのです。
ボーナスの満額支給が、男性国家公務員の育休取得に影響していることは歴然とした事実です。
国家公務員の方々これまでそうだったように、会社員にも収入のことを心配して、育休を諦める人たちがいるのです。
国家公務員と同じように、育休1カ月以内なら、どこの会社もボーナスを満額支給できるようにしてほしいのです。
1カ月以内の育休を取得した男性国家公務員のボーナスは税金から補填されているはずです。
ならば、すべての男性が1カ月の育休を取得できるよう、会社にも補助金をを出しませんか?
そしたら、政府の本気度が伝わると思うのです。