「ハンマー&ダンス」のダンスはソーシャルダンスなんじゃないかな
新しい日常に入った期間を、なんと呼べばいいのか。確かに、新しい日常ではなんだか、パッとしないものね。
感染者の増加は抑えられたとしても、ウイルスが消えたわけではなく、新しい生活の仕方で、日常を過ごす時期をなんと呼ぼうか。
叩くからハンマー、ではダンスとは
ハンマーとダンス理論における、ダンス期をなんと呼ぶのかという議論が出ています。
医師(病理専門医)・薬剤師・研究者(病理学・免疫学・ウイルス学)の峰宗太郎先生がツイートされていました。
確かに、日本人にダンスはなじみにくいかもしれません。
踊り?何と?ダンスといってもいろいろありますし。
そもそも、ハンマーとダンスって何? という方のためには、こちらが良いかと。山中伸弥先生の新型コロナウイルス情報発信サイトです。
緊急事態宣言の延長が安倍首相から発表された後、西村経済再生大臣の会見で”The Hammer and the Dance"という概念が紹介されました。これが、日本の対策の基本方針であると理解しました。The Hammer and the Danceは、3月末にTomas Pueyo氏により提唱されました。彼は、新型コロナウイルスの急激な感染増加は医療崩壊をもたらすことから、一日も早くLockdownのような強力な対策で感染者数を徹底的に減らすことが必要と強調しています。ハンマーで叩きのめすイメージでこの強力な対策を”The Hammer"と呼んでいます。
叩くからハンマー。
これらの対策を取ることにより、ウイルスとの共存が可能となります。この時期を、ウイルスとダンスを踊るようなイメージで”The Dance"と呼んでいます。
ウイルスとダンスを踊る? どういうこと? という感じになりますが、元になった論文を日本語訳したものがこちら。
「ハンマー」からワクチンまたは効果的な治療が実施されるまでの間の数か月の期間を「ダンス」と呼びます。「ハンマー」の時ほど厳しい措置が取られるわけではないためです。一部の地域では再び流行が見られますが、他の地域では長期間見られません。症例数がどのように進展するか次第で、社会的距離の措置を強化するか緩和するかが決まります。それがRの「ダンス」です。私たちの生活を軌道に乗せることと病気を広めることの間の「ダンス」、経済と医療の間の「ダンス」です。
原著論文では、Rのダンス、と呼び、経済と医療の間のダンス、としていますね。単純にウイルスとのダンスということではなさそうです。
Pueyo理論と8割おじさんの類似
元になっているのは、少々長いのですが、3月の時点で書かれた対策に関する論文で、最も多く読まれたものだそうです。山中先生が引用されたように、西村大臣も参考にしているようですから、このハンマー&ダンス理論で日本も対策を考えていると言えるでしょう。
40カ国語以上に翻訳され、6000万回以上読まれたとか。
この図は、山中先生が手を入れたものですが、まさに今の政策につながっていることがわかります。
ここで、指標となるのが、実効再生産数(R)で、8割おじさんこと西浦先生もシミュレーションの基準にしている数値です。これがどういう変化をするかを見ているわけですね。
この時、西浦先生もR=2.5で推移するとどうなるかということをあげていました。まさに、Pueyo氏のいうように。
Forbesの記事を引用すると、こういうことですね。
具体的にはPuey氏は、コロナ対策決定の指標として「実効再生産数(R=1人の感染者が何人に感染させるかという数値)」を重視する。
対策をまったく行わない場合、この「R」値は約2.5。「ハンマー」のフェイズでは感染者を可能な限り減らすことを優先し、Rを0.5程度まで下げることが必要である。そして、Rを2.5から0.5にするには、人同士の接触を0.5/2.5=0.2に、つまり80%以上減らすことが求められる。
8割なんですね、やっぱり。
ダンスはいつまで踊ればいいのか
8割とまでは行かないまでも、日本も大幅な行動自粛の成果(ハンマー効果?)が出て、感染者数が下がってきています。
緊急事態宣言の解除も間近となってきました。
でも、私たちの新しい日常の本番はこれからです。Pueyo氏は説きます。
この理論は次に、「ダンス」のフェイズにおける、「R」を「1を超えない」程度に抑えることを前提にした経済活動再開を提案する。「R」を1未満にするためには、人同士の接触を1/2.5=0.4、つまり60%以上減らす必要がある、という。
そして「ハンマーとダンス」の理論は、人同士との接触を「平時の60%以上減らす」努力がおそらく1年以上は必要、と説いていく。
ハンマーが8割だったのに、ダンス期でも6割削減が必要で、しかも1年以上続きそうだとすると、オリンピックとかは無理じゃないですかね?
まあ、オリンピックの話は別途考えるとして、ダンス期に入っても、まだまだ行動制限は必要だということのようです。
スロー、スロー、クイック、クイック
この制限がある感じから、私には、ダンスの中でも、ウイルスと社交ダンスしている感じが浮かぶのです。
自由に踊るのではなく、相手の手を離さず、型の制約がある中で、精一杯のポーズをとるワルツとかの感じ。
これから、制約の多い日常生活という、ウイルスとのソーシャルダンスが、まだまだ続くのではないでしょうか。
IT活用、国民との対話、オープンデータ。コロナ禍から見えてきた日本の課題解決が急がれている。
スロー、スロー、クイック、クイック。
ダンスのステップは、ITで補強して、なるべく、クイックでお願いします。
サポートの意味や意図がまだわかってない感じがありますが、サポートしていただくと、きっと、また次を頑張るだろうと思います。