接触確認アプリ=COCOAの不具合は、世界に日本のOSSやアプリ開発力をアピールする好機かも
この週末は、アプリの話で持ちきりでした。
COCOAはベータ版?
当初は、この記事に書いたように、見つからないとかわからないとかいう声がありましたが、そのうち、AppStoreのトップに出るようになり、多くの方がダウンロードしたようです。
でも、色々と不具合があることがネット上で語られています。
でも、これはある意味当然なのかもしれません。
厚労省の該当ページには、こうあります。
・ご利用いただくアプリは、最初の公開日から1カ月間は、試行版(プレビュー版)になります。
・試行版は、ご利用いただく状況も参考にしつつ、継続的にデザイン・機能を改善していくために、今後アプリを更新することがあります。アプリが更新されている場合には、最新アプリにアップデートいただくようお願いします。
つまり、ベータ版なんじゃないんですか?
苦情はOSSではなく受注者か発注者へ
じゃ、なんでこんなことになったのか。
開発がOSS(オープンソースソフトウェア=Open source softwareの頭文字をとった略語)だから出来が悪いという話ではないと思います。
この記事が詳しいです。
国民の注目度が相当に高いアプリであり、試行版として提供するのであれば、いきなり全国民にリリースして2日間で241万人にダウンロードさせるのではなく、「パブリックベータテストである」と明確にして、限られた人数から始めるべきだったのでは無いでしょうか。また、試行版なのであれば、明確なフィードバックプロセスも明示すべきでした。(今はアプリにはお問い合わせのメールアドレスしかなく、不具合の報告方法も明示されていません。)
でも、それは開発に携わった「COVID-19 Radar」に帰する問題というよりは、発注した厚労省であり、受注したパーソルプロセス&テクノロジーが負うべき問題ではないのでしょうか?
西田さんの記事で「COVID-19 Radar」の名前が出たせいか、苦情が寄せられているようですが、それはかわいそうな気もします。上記の記事を書いているCode for Japan 関治之さんが指摘する通りだと思います。
委託費はまさに品質を担保するために支払われているはずですので、少なくとも、現状のようにOSSコミュニティが一手に批判を引き受けているのはいびつな状況だと感じます。
菅義偉官房長官は16日の記者会見で、厚生労働省が接触確認アプリの工程管理をパーソルホールディングス子会社のパーソルプロセス&テクノロジー(東京・江東)に発注したと明らかにした。同社は日本マイクロソフトを含む2社に再委託しているという。プログラムの開発は日本マイクロソフトの社員ら民間企業の技術者が参加するオープンソースコミュニティーが担うとした。
OSS文化を日本に定着させるためにも、ここは、COCOAの苦情は厚労省かパーソルプロセス&テクノロジーにして欲しいものです。
尚、不具合については、特定の個人に直接伝えるのではなく、厚生労働省の窓口にメールしましょう。 appsupport@cov19.mhlw.go.jp が窓口のようです。
文句を言うだけじゃ意味がない
さらにOSSに関してこういう意見もあるようです。
さて、アプリだけど、ただただ、技術にフォーカス当たったり、出どころにフォーカス当たったりしやすいけど、政治がどうとかより、この世の中をどう豊かな暮らしを担保していけるのか?少しは考えようよ。
せっかくボランティアの活躍で良いアプリのベースが出来たのだから、文句ばかりじゃなくて、アプリを育てる機運というのも欲しい気がしますよね。
いずれにしても、私は、この関さんの意見を支持したいと思います。
エンジニアである皆様、プロフェッショナルであるならば、OSSになっているアプリの不備を列挙することに終始するのではなく、このプロジェクトをコードで支援し、不具合を一刻も早く解消し、国民に安心して使ってもらえることを一丸となって目指しませんか?
日本全体でベータ版を改善し、世界に配れるような内容にしてはどうかと思う次第です。私自身はプログラムに関係する人間ではありませんが、日本発の世界に通用するアプリになる可能性もあると思ったんで、インストールしようとかダウンロードできた、とか言って紹介しているわけです。
OSSでアプリを改善するチャンス
大体、この手のアプリ開発は、今、世界中で苦戦しているんです。
イギリスはやり直しになったようですし。
海外では偽アプリが出たり、別の目的に使う人が出たり、色々と問題があります。
ここで、世界で通用するような、偽アプリの撲滅に貢献できるような優れたものを作り出せば、日本のコロナ感染者数のデータが使えないなどという冷ややかな目も好転するのではないでしょうか。
この機会を捉えて、まだベータ版ならば、日本中のアプリ開発者がバグ探ししたり、改善提案したりして、日本のアプリ開発力を世界に知らしめる機会にして欲しいものです。