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小さな選択の積み重ねが育むもの
イタリアの市場で目にする光景に、毎日新たな発見をしている。生後4カ月の娘とともに、初めての海外旅行としてイタリアを訪れているぼくらは、この国ならではの豊かな生活文化に触れている最中だ。
市場には、色とりどりの野菜やフルーツ、さらにはピザやお菓子までもが量り売りで並んでいる。
親たちが「どれを食べたいの?」「どれくらい食べたいの?」と問いかけると、子どもたちは嬉しそうに自分の好きなものを選んでいく。
その姿を見て、ぼくは何度も心を動かされる。
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かつての日本でも、八百屋や商店で量り売りが当たり前だった。必要な分だけを買うという文化があり、それが暮らしの一部として自然に存在していた。
しかし、今ではスーパーに並ぶ食品は多くがパック詰めされており、消費者が自分で量を選ぶ機会は減ってしまった。
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それに対して、海外では欲しい分だけを選び取ることが自然な形で受け継がれている。そして、量り売りは余計な包装を減らし、ゴミが少なくなるという利点もある。環境への負荷を減らしながら、暮らしをシンプルに保つ姿勢が、ぼくにはとても魅力的に映る。
「どれを食べたい?」
「どれくらい食べたい?」
このシンプルな問いかけには、子どもが自分で決めることの喜びと、それに伴う責任を学ぶ大切な経験が詰まっていると感じる。ぼくも、娘がもう少し大きくなったら、そんなふうに問いかけてみたい。
小さな選択を積み重ねながら、彼女が自信を持って生きていけるように。そしてその成長の瞬間を見守り、一緒に喜び合いたい。
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イタリアで見ているこの光景は、
ぼくにとって忘れられない学びとなっている。
ぼくも娘に「どれを食べたい?」と聞きながら、彼女が自分で選ぶことを楽しめる、そんな日常を送りたい。
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