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一句《腕を組み メシアンを聴く 文化の日》オペラシティホール2022-11-03(15:00)ピエール=ロラン・エマールのピアノ・リサイタルへ行きました

リサイタルの感想の前に、小説とロック・バンド「クィーン」の話を少し、

作家アルベール・カミュ(1913-1960)の代表作「異邦人」という小説ですが。

あらすじは、主人公が母の葬式をないがしろにした後、トラブルから殺人を犯してしまう。裁判では、母を亡くしたときの行動や殺人の動機が「太陽のせい」ということを問題視され、極刑の判決。主人公は人々から罵声を浴びることを最後の希望として生きる。そんな、社会から受け入れられなかった、主人公=異邦人の話です。

そして、wikipediaでカミュ「異邦人」を調べ「関連項目」を見ると、特に何も説明がないのですが「ボヘミアン・ラプソディ」と、書いてあります。

「ボヘミアン・ラプソディ」とはイギリスのロック・バンド「クィーン」の代表曲のことで。

はて?

私は、これまでカミュの「異邦人」とクィーンの「ボヘミアン・ラプソディ」を結びつけることなど、思いもつきませんでした。

しかし、改めて「ボヘミアン・ラプソディ」の訳詞を見ながら、曲を聴いてみると、冒頭「ママ」への問いかけから、最後の「それでも風は吹く」のドラの音(ギロチン?)まで、「異邦人」の世界観がピッタリ合うのです。

作者フレディ・マーキュリーやクィーンの意図は不明ですが、只今より、私の中では、「異邦人」と「ボヘミアン・ラプソディ」の2つの作品がセットになりました。

いつも、お世話になっているwikipediaさん、今回も教えていただき、ありがとう。

リサイタルについて

東京オペラシティコンサートホールで、ピエール=ロラン・エマールのピアノ・リサイタルを聴いてきました。オリヴィエ・メシアン(1908-1992)作曲「鳥のカタログ」全13曲演奏です。

コンサートホールは6〜7割くらいの席が埋まってます。

午後3時から始まり、演奏60分+休憩20分+演奏30分+休憩20分+演奏60分、午後6時すぎまで約3時間、楽しみました。

ヨーロッパノスリ

11曲目、ヨーロッパノスリ(曲名で、鳥の名前です)が特によかった。

ピアノの低音と高音を同時に一泊ずつ、無調性でランダムのように進んで行くところから始まり、餌の奪い合いの動作や鳴き声、上空へ飛び立ち旋回するところまでを表現します。

この曲あたりから最後の曲にかけて(11〜13曲目)、盛り上がりも最高潮になり、演奏にも力が入り、ピアノを弾く動作も大きくなります。現代音楽メシアンをノリノリで弾くエマール。

完璧でした。

映画について

そう、常に完璧を目指す、そんなピアニストのエマールは(映画の中では)調律師への要求も厳しく、調律師は問題解決のため、ピアノを解体し、部品調達のため走り回り、部品を入れ替え、ときには徹夜などということもある。そんな状況を映画にしています。

調律師の苦労を描いた「ピアノマニア」という映画です。

(私の記憶では、映画の中でエマールは演奏時「鍵盤毎に、音が大きすぎる鍵盤を弱く弾き、音が小さすぎる鍵盤を強く弾く」と、言ってたと思う。さすがピアノマニア)

メシアンについて

プログラム・ノートによると、

メシアンは音を純粋に高さ・強さ・長さという数的要素として追求していたのを、後に音をスケッチするというアイデアへ発想を転換することになります。

そこで生まれたのが「鳥のカタログ」という曲集で。

「鳥たちの歌を、鳥たちのすまう環境ごと、ピアノに写し取る」ことをメシアンが実現し、フランスの各地を訪ね歩き、それぞれの鳥の姿を厳密に、忠実にピアノで再現します。

「鳥の歌を採譜する殺気せまる真剣さ」メシアン、かっこいい!

それを弾くエマールも、かっこいい!

素晴らしいピアノ・リサイタルでした。

最後に

作曲家メシアンと作家カミュは、ともにフランス人で、ほぼ同世代です。


読んでいただき、ありがとうございます。

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