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ジェイン・オースティンのヒンディーガールソング
ジェイン・オースティンは英国南部で父親が牧師の比較的裕福な家庭で生まれ育ち、後に「分別と多感」「高慢と偏見」「エマ」「説得」など、中流から上流階級あたりの典型的な英国人が登場する小説をいくつか出版します。
小説の中ではヒンディー、インド、東南アジア、など東洋に関連することは何も無かったように思います。(Geminiにたずねてみても、関連は見当たらないと)
ところが、ジェインは五線譜の本に「ヒンディーガールソング」の楽譜を写しているので、ピアノで弾き語り、または、少人数で演奏しながら歌っていたということです。
多少なりともヒンディーに関心があったのでしょうか?
その辺りを調べてみました。
*
まず、一枚の絵から。
右端の女性がジェインの叔母(父の姉)フィラデルフィア(1730-1792)。左端の男性がその夫、英国の東インド会社の医師、1765年頃に描かれた家族の肖像画です。
この家庭の使用人は約30人、個人的な家政婦だけでも4〜5人。
その家政婦のひとり、中央のインド人(ヒンディーガール)に支えられ、こちらをまっすぐと見つめる聡明そうな女の子がイライザ(1761-1813)、インドで生まれ、大事に育てられ、フランスで教育を受けます。
フランスでは高い身分の方々との交流もあり、ヴェルサイユ宮殿で国王、王妃(マリー・アントワネット)に会うという機会に恵まれ。
最初の結婚相手はフランス人大富豪、その夫をフランス革命で失った後は、ジェインの兄と結婚し、ジェインの義姉イライザ・オースティンとなります。
ジェインとイライザの親しい交流は、イライザが51歳で亡くなるまで続き、イライザが亡くなった4年後、ジェインも体調を崩し41歳でこの世を去るわけですが、このとき、ジェインは簡単な遺言を書き、3人に財産を遺すよう指示します。
3人のうち、一番多くの財産と権利を遺したのは最愛の姉、次が信頼していた兄、そして、もうひとりが、4年前までイライザの家政婦をしていたマダム・ビジョン。
というように、ジェインは家政婦マダム・ビジョンと親しかった。そして、ジェインはイライザから家族の肖像画に描かれたようなインド人家政婦のエピソードをたくさん聞いていたはず。
つまり、ジェインは家政婦という立場や、ヒンディーガールの境遇を身近に感じていたと考えてよいでしょう。
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ジェインの手書き楽譜は公開されています。リンク先の「132ページ」がジェイン・オースティン手書きの楽譜「ヒンディーガールソング」。
この曲のオリジナルとなる楽譜や演奏の録音も公開されています。オリジナルは英国の詩人アメリア・オーピー(1769-1853)による作詞で、正式なタイトルは「A Hindustani Girl’s Song」。
楽譜から歌詞を引用しますと。
Tis thy will,and I must leave thee, O then best belov'd farewell!
I forbear lest I should grieve thee, half my heart felt pangs to tell.
Soon a british fair will charm thee, thou, alas! her smiles must woo,
but tho' she to rapture warm thee, don't forget thy poor HINDOO.
歌は、インドに赴任してきた英国人と、インド人女性が恋をして、英国人が帰るため、別れることになって、ヒンディーの私を忘れないでね、といった背景と内容です。
Geminiに「この英国の古い歌を今風の歌詞に翻訳してください」と、お願いしてみたところ、次のような回答が得られました。
あなたの気持ちだから、
もう一緒にいられません。
愛しいあなた、
さようなら。
あまりに辛くて、
心の痛みを全部言えない。
きっとすぐに、
素敵なイギリスの女性が現れて、
あなたの心を奪うのでしょう。
あなたも、
その笑顔に惹かれてしまうかもしれません。
でも、
そんな時でも、
私というインド人のことを、
どうか忘れないでいてください。
Geminiによる現代語に置き換えた翻訳例
といったように、
ジェインはヒンディーガールの社会的な立場や虐げられた気持ちを深く理解していて弾き語りしていたに違いない、と、思いたいところですが・・・
ヒンディーに関心があるというよりも、ただ失恋ソングを歌いたかっただけということかもしれません。
*
ジェイン・オースティンは、
ちょっと失恋ソングを歌ってみただけ。
それが、結論かと?
はい。
あきれたでしょうか?
でも、
そんな時でも、
私というnoteクリエイターのことを、
どうか忘れないでいてください。 ♫♪
Geminiによる現代語に置き換えた翻訳例
一部改変
読んでいただき、ありがとうございます。