7月25日の日経新聞で「〈小さくても勝てる〉中小で女性管理職「3割当然」先行する企業に求職者絶えず 育児に理解、男女とも安心」というタイトルの記事が掲載されました。
同記事の一部を抜粋してみます。
人口の約半数が女性だとすると、管理職の約半数も女性人材が占めていておかしくありません。女性管理職比率が高い国でも40%前後、日本含めた低い国ではそれ以下の比率という現状からは、女性人材が管理職を務めにくい要因が明らかに存在していると、改めて認識されます。
同記事からは、改めて「総力戦」というテーマが頭に浮かびます。
家庭内の子育ても、負荷が母親に寄っているのが現状ですが、父親をはじめとする母親以外の人材もさらに参画すべき余地があります(私自身も明らかにそうです)。職場でも、性別などの属性を問わず、各人の強みやできることを融通・連携し合っての総力戦が、ますます問われるようになるということです。
労働力人口が減っていくこれからの環境では、改めて、社をあげて総力戦に取り組んでいる企業が、そうでない企業に比べて求職者から選ばれやすくなっていくはずです。
社員の年間休日数が120日、時短勤務制度は子供の小学校入学まで認めるなどが以前から既に実現しているという企業は、大企業を中心に少なくありません。そのうえで、同記事の事例のように、中小企業を中心にまだそこまで至っていない企業も相応にあります。こうした環境を何とか実現するだけでも生み出せる雇用の余地がありそうだと、同記事は示唆していると感じます。
先日もある会社の方々と意見交換をする機会があり、「特に子育て中の従業員は、子どもの急な発熱や突発的な事象への対応が求められる。皆が快く臨機応変に、柔軟にシフト調整するなどの対応を心がけている」「就業時間帯や場所、何かあったときの柔軟な調整など。ちょっとした柔軟さがあるかないかで、勤続できるかどうかを分けることも多い」というお話を聞きました。ポイントは「快く」にあるのだと思います。
やむを得ない事情で調整を依頼する側が「申し訳ない」と感じてしまう状態(そうした気持ちになるのは当然かもしれませんが)だと、真の働きやすい環境とは言えないのだと思います。
私自身も保育園送迎を行うことがありますが、朝保育園に子供を預けてそこから通勤して始業時刻9:00に間に合おうとすると、ぎりぎりになります。私の子どもの場合、諸条件から預けるのを認可されたのは、基本的に始業1時間前の8:00から。通勤時間は45分間。8:05に預け終わり、10分で自転車に乗って駐輪場に置き、電車に乗ってぎりぎりです。都内の電車は運転間隔調整がよく発生し、少し遅延すると間に合いません。
さらに、日によっては、保育園の体育館で昼寝用の布団を布団カバーに入れるという作業が加わります。この作業は子どもを預けた後に行うというルールになっているため、この作業が加わると物理的に始業時刻に間に合わないということになります。同様のような環境の方も多いのではないかと思います。
今の勤務先ではありがたいことに、出勤の時間調整が可能、テレワークが可能となっているため、私が送迎を担当する日も調整しながら仕事をすることが可能ですが、そうでなければ私が朝の送迎を行うことはできません。
冒頭の「社員の年間休日数が120日、時短勤務制度は子供の小学校入学まで認めるなどにしたことで、明らかに応募が増えた」という事例からも、働きたくても働けていない人材はまだ相当数いるのではないかと想定されます。
同日の日経新聞別記事「女性活躍基準「えるぼし」 中小認定、5年で6倍 トップが率先垂範」では、次のように紹介されています(一部抜粋)。「プラチナえるぼし」などの公的な認定を受けることは、企業の取り組み度合いを示すことにもつながります。そうした取り組みが感じられる企業は、現状で子育てを中心的に担っている母親だけでなく、男性の人材からも選ばれやすくなるということでしょう。
会社は、働きやすさを追求するのが最終目的の場ではありません。仕事を通じた成果を追求する場です。そのうえで、働けないことには成果を追求する仕事に取り組む機会がありません。働きやすさを実現するための制度面の後押し、柔軟な調整といった取り組み面の後押し、両方が必要だと考えます。
<まとめ>
「総力戦」を後押しする、制度面と取り組み面が必要。