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変えられることにフォーカスする

1都3県対象の緊急事態宣言が、きょう決定される見通しと報道されています。具体的な対応の想定は追って各方面でなされることになると思いますが、相応の影響が出ることは避けられないでしょう。
このことについて思ったことを、今日は取り上げてみます。

世の中には、「自分で直接変えられるもの」と「自分では直接変えられないもの」が存在します。このことに関連して、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」と聞くことがあります。

ちなみに、この名言は、1950年代後半に交流分析を考案したアメリカの精神科医エリック・バーンによるものとされています(交流分析(Transactional Analysis):一人ひとりが最良の人間関係を築くために考案された心理学)。他にも、アドラー心理学関連の記事などでも見かけることがあります。

交流分析の哲学の基本的な見解として、次のことが含まれているそうです。自分の考え方と言動が変われば、物事との関わりや現実を変えていけるということです。

・人は誰もが考える能力を持っている。
・自分の運命は自分自身が決め、そしてその決定を変えることができる。

直接変えられる未来と自分=自分のできることにフォーカスしたほうがよい。直接は変えられない過去と他人=自分のできないことにフォーカスしても問題の解決にはならない。至ってシンプルな心構えについて、上記の見解に沿って表現したものだと言えるでしょう。

他方、近年この逆で、「過去は変えられるけど、未来は変えられない」という言葉も聞くことがあります。これは、起こってしまった過去の出来事自体は事実として変わらないが、現在の自分の考え方が育てば、過去の出来事に対する捉え方(意味づけ)が変わる」というのが真意のようです。捉え方が変われば、そこから新たな気づきや学びが得られて、未来の自分の行動に反映させることができる。一方で、いち個人以外の環境要素が大きく影響して決まっていく未来がどうなるのか考えていても限界があるというわけです。

言いたいことは、「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えられる」と結局同じでしょう。つまりは、自分が影響力を行使して直接変えることのできる要素にフォーカスし、行動を具体的に変えていこうということです。今日これからの天気をただ心配するだけでは何も解決になりません。天気予報を参考に傘をカバンに入れたりイベントの進め方を調整したりすることにフォーカスするべきです。

大ベストセラーで、新入社員向けの指南書として古典的な存在にもなりつつある「入社1年目の教科書」(岩瀬大輔氏著)に次のような内容があります(一部抜粋)。ここでも、示唆していることは「起こったことに対する自分の認知という、自分が直接影響力を行使できることを変える」で、上記で取り上げた考え方と同じでしょう。

~~「39 叱られたら意味を見出せ」 僕は、すべてのことに意味があると考えるようにしている。悪い出来事が起こった場合、この出来事は自分に何を教えてくれようとしているのをしっかり考える。起こったことすべてに意味を見出す習慣をつけると、辛いことも辛くなくなり、無駄に一喜一憂することもなくなる。~~

同書にはこのような、新入社員にお勧めのルールが50ほど書かれていますが、新入社員だけでなくベテラン社員であっても勉強になる実用的な示唆ばかりだと思います。私自身、体得できていないものがいくつもあります。

とはいえ、「自分で変えられることにフォーカスするよう心がける」と「意識」を拠り所にするだけでは、うまくいかない人が多いのではないかと思います。「自分では変えようのないことにフォーカスしてしまう傾向がある」というのも一種の行動習慣だからです。意識だけで行動習慣を変えられる人は少ないでしょう。何らかの仕組み化をすることが必要です。

どんな仕組みが向いているかは人それぞれだと思いますが、方法のひとつとして「定期的に他者にフィードバックを受ける機会をつくる」ことが挙げられるでしょう。コーチングもそれに当てはまります。つまりは、自分では変えようのないことにフォーカスしてひたすら悩むだけになっていたとしたら、フィードバックを受けることでそういう状態になっているという気付きを得る仕組みということです。

私も日常的にコーチングを担当する機会がありますが、その中で「今の話は、○○さん(相手の方)には動かしようのないことで悩んでいるように見受けられましたが、いかがですか?」と質問することがあります。すると、往々にして「確かにそうですね。。自分にできることを考えたほうがいいですね。」のようなやり取りに発展します。他者を使って自己を客観視し、目指したい行動に軌道修正をかけるというのは、有力な方法だと思います。

「第一波でおさまってくれていれば」「再度の宣言さえなければ」のように、私たちはどうしても自分では直接変えられないものについて考えたくなります。再びの緊急事態宣言下では、「自分で直接変えられるもの」にフォーカスして行動したいところです。そして、前回の宣言下以降これまで、どのように行動しどのような結果につながったかを振り返り、今回取るべきアクションに活かしたいと思います。

<まとめ>
「自分で直接変えられるもの」にフォーカスするための、自分に合った仕組みをつくる。


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