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オンラインレッスンの今後のあり方

先日の投稿で、オンラインレッスンについて事例を交えながら考えました。その時に取り上げた内容も踏まえて、オンラインレッスンの今後のあり方について、今回はテーマにしてみます。

オンラインレッスンに関して、今後は、以下1.~4.の要素がますます求められてくるものと考えます。

1.レッスンの高頻度・短時間化
オンライン化によって場所・時間の制約がなくなったことが、レッスンの提供者側・受講者側双方にとっての大きなメリットです。いつでもどこにいても教えられる、学べる環境が発達したことで、今後のレッスン市場全体のさらなる発展が見込めることは、上記「オンラインレッスンを考える」でも取り上げた通りです。

そのことにも関連して、従来のレッスン以上に高頻度・短時間化が今後さらに求められてくるでしょう。例えば、これまで1回4時間のオフラインレッスンで網羅していた内容を、2時間×2回で対応するイメージです。

場所・時間の制約がなくなったことは、回数が増えても移動の負担がないことを意味します。
移動を伴うレッスンなら、「移動時間にかかったコストを上回るレッスン時間を確保したい」という心理が働いて、1回あたりのレッスン時間も相応の長さを求めようとするものです。しかし、大学の授業でも最大で90分間の設定となっているように、1回あたりのレッスンで集中できる時間には限界があります。また、個人差はありますが、休憩を挟むとはいえ1日でレッスンに集中できる総時間も限界があるものです。移動時間がなくなったことをきっかけに、1回で長時間拘束されるレッスンより、短時間でより気軽に参加できる手軽さを受講者側に期待させるようになるはずです。

この心理的な側面に加えて、オンラインレッスンがオフラインに比べて疲れやすいという身体的な側面もあります。デジタルネイティブ世代が中高年となる数10年先は別だと思われますが、少なくとも当面は「長時間画面に向かうオンラインはオフラインより疲れる」という受講者が多数派でしょう。この身体的な側面からも、同じボリュームのレッスンに対して「長時間で1回」より「短時間で数回」のほうが好まれる可能性が高いと考えられます。

学習効果の観点からも、頻度を高めることで効果が高まる可能性があります。類似のことは、上司・部下間のコミュニケーションにおいても言われています。ある企業では、自社で取り組んでみた結論として、上司と部下で相互理解を高めて報連相を充実させる上では「週1時間×1回の会話より、1日5~10分の会話×5日間を推奨している」といいます。時間の総量が同じなら、頻度を刻むほうが効果が高いというわけです。この観点と同じことがレッスンについても言えるかは、レッスンのテーマにもより一概には言えませんが、参考にすべき視点ではありそうです。

加えて、オンライン環境の充実によって、いつどこにいても会社や顧客から業務連絡が届き、対応を迫られる場面が増えてきました。良い意味でも悪い意味でも、昼夜・場所を問わずスマホを通じて世界中とつながっているわけです。私たちは今後ますます、レッスン中にも様々な業務連絡が届き、レッスンの合間にその対応を迫られる環境となっていくでしょう。よって、1回のレッスンはレッスンのみに集中できる時間枠での設定が好まれるようになると想定されます。

2.オンラインレッスン化に向き不向きの見極め
当然のことながら、学習内容によってオンライン化に向き不向きがあります。上記「事例」「事例(2)」で取り上げた会社のように、ショッピングセンターで開設されている教室事業はオンライン化が不向きだが、学校教育事業は向いているなど、語学学習という同じ分野ながら正反対の結果になることもあり得ます。同社担当者様の話では、オンライン化に最も相性の良いテーマ・学習内容は、ヨガということです。

受講生は講師の話を聞きながらヨガマットの上でポーズをとることで、習得すべき要素はほぼ完結します。講師との双方向の頻繁なQ&Aや対面だからこそ感じ取れる空気感、受講生同士のかかわりによる相互作用、受講生の表情の変化を講師が読み取る必要も、他のレッスンテーマに比べれば少ないでしょう。さらには、実地に多人数が集合してヨガに取り組むよりも、自宅にいながらオンラインで取り組むほうが、周りのスペースを気にしなくて自由にできる点も優れています。とはいえ、講師が受講生のポーズを見ながらずれている姿勢を指摘して直させるなどは、DVDなどによる学習形態では難しいため、リアルタイムでの講師による指導がなされることが望ましい面もあります。よって、オンラインレッスンが成立しやすいというわけです。

これが、ピアノレッスンでも同じようにうまくいくかというと、おそらくそうではないでしょう。(私はピアノの経験がなく、想像の域を出ない面がありますが)微妙な音階を聴き取ってのフィードバックや鍵盤を押すときの力加減の指導など、オンラインでは限界がありそうです。当然ながら、テーマによってはオンラインとオフラインの組み合わせを積極的に行うべきです。自社が提供できる事業のうち、何がどのようにオンライン化として成立しやすいのか、見極めが求められるでしょう。

また、向き不向きに大きな影響を与えるのが、レッスンを受ける上での受講者のレディネス(準備状況)です。高い目的意識と学習動機を持ち合わせた受講者で占められているなら、そのレッスンは成果を上げやすくなります。一方、子供向け英会話教室であれば、親に言われて教室に来た子供はそのようなレディネスを持ち合わせていないため、うまくいきにくいわけです。1対1でない集合型のレッスンでの受講生の満足度は、周りで参加した他の受講生の属性から大きく影響を受けます。提供者側としてはこの点にも注意し、場合によっては参加資格要件をより明確にするなどの対応も求められるでしょう。

続きは、次回以降考えてみます。

<まとめ>
オンライン化により、レッスンに適した頻度・時間の設定も変わってくる。


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