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「役に立たない塾」でFeel度Walkをやりたいワケ

役に立たない塾をつくりたい現役教員ふじぽんです。

さて、塾というからには具体的な中身が必要。でも「ここにくれば英語の点数が20点アップ!」なんてことをやるつもりはさらさらない。改めて確認しておくが、私がやりたいのは、「コスパやタイパ」といった現代の資本主義・メリトクラシー社会に生きる私たちを取り囲む空気のような何かを一度脇において、本当に大切にしたいものを大切できるようになること。自分でない誰かの「役に立た」なければ自分には価値がないという世界から一歩はみ出して、自分の本当に大切にしたいことを思い出すこと。

そのための具体的な中身って何だろう?

実は、妙案がある。Feel度Walkだ。
これは「役に立たない塾」のメインコンテンツになるかもと思っている。

一般社団法人みつかる+わかる代表理事の市川力さんは慶応大学SFCの井庭崇さんと共にジェネレーターという概念を提唱し、Feel度Walkという活動を全国で行っている。実は私は先日、2泊3日でこの市川さんのFeel度walk合宿イベントに参加してきた。そこでの自分の体験を振り返りながら、以下にFeel度Walkを紹介してみたい。

Feel度Walkとは何なのか?

このFeel度Walkという活動、やることはいたってシンプルだ。
動詞で表すならたった4語。
「歩く」「撮る」「描く」「語る」だ。
ふらふらと歩きまわり、気になったものを写真に撮り、後で1つを選んでスケッチし、それについて語る。

え!?それだけ?と思われたかもしれない。
でも本当にそれだけなのである。

やることはこんなにシンプルなのに、とってもパワフルな何かがその場から生まれてくる。そう「生まれてくる(Generate)」のだ。なぜか途中からみんなの顔がイキイキとしてくるし、場がホクホクとしてくる。

何がそうさせるのか?

それはズバリ、「面白がる力」だ。実は大人になればなるほど、これを忘れてしまっていることが多い。あてもなくふらふらと歩きまわりながら(30分から1時間くらい)、なんとなく気になるものを写真に記録していく。このシンプルな営みを通して、「なんとなくセンサー」がぐわっと開いていく。これはやってみてほしいとしか言いようがないのだが、確かにぐわっと開くのだ。「あ、これ面白いかも・・・」と思えるものが目に入ってくるようになる。それを写真にとりためていくと不思議ともっと集めたくなってくる。

そして、撮りためた写真の中から、特に1枚気になるものを選んで、スケッチする。4人1組で1枚の模造紙に描いていくのが王道スタイルらしい。
実は私は絵が苦手だ。でも、不思議と、やってみるとスケッチに夢中になって黙々と描きこむ自分がいた。画材もクレヨンでも鉛筆でも、絵の具でもマーカーでも良いらしい。
スケッチしていると色んなことに気付く。「あれ、ここにこんなひび割れがあったんだ・・・」とかそんな感じのやつ。20分から30分ぐらい描いただろうか、熟成というには短時間だが、これまた不思議なことに、目の前には拙いけれど、なんとも愛おしい自分なりの「発見」ができあがっていた。

その自分の「発見」を、一人ひとり「語って」いく。
ここが本当に面白いのだが、誰かの「面白い」は伝染するのだ。
「へえ~!」とか「うわ~!そこか~!」とか自然と「みんなで面白がる」空気になる。お互いの発見を「愛で合う」時間ともいえるだろう。いや、発見だけでなく、その場で即興的に生み出されている全てを愛で合っていた気がする。アプリシエーションに溢れた時間がそこにはあった。これが実に心地よい。だからなのか、参加メンバーとは初対面なのにめちゃくちゃ仲良くなれたし深い話ができた。

実は今回の合宿ではこれを3回行った。場所は変えたし、メンバーも少し変わったが、基本的にやることは一緒である。でも不思議なことに全然飽きない。むしろ、回を重ねるごとに自分の中の「なんとなくセンサー」の感度が上がっていき、どんどん「面白がる力」が磨かれていく感覚があった。

なぜFeel度Walkなのか?

もう一度確認すると、私がやりたいのは、「コスパやタイパ」といった現代の資本主義・メリトクラシー社会に生きる私たちを取り囲む空気のような何かを一度脇において、本当に大切にしたいものを大切できるようになること。自分でない誰かの「役に立た」なければ自分には価値がないという世界から一歩はみ出して、自分の本当に大切にしたいことを思い出すこと。
だった。

なぜこれでFeel度Walkなのか?

参加者の一人の合宿の最後のコメントを紹介してみたい。
その方は、最初は「格好つけた絵」を描いていたそうだ。いや、当時はそう意識はしていなかったものの、3日間たってみて振り返るとあの頃はそう構えていたのだと気づいたようだ。「上手く描きたい」という気持ち。もっといえば、「上手く描かなければ」という気持ち。その裏には、「他者によく見られたい」「自分の素直な感覚を出すのが怖い」というものがあったらしい。それが回を重ねるごとに、他者の目よりも、自分の「面白い」に焦点が当たるようになってきたのだという。
「だから3回目の絵は雑なんです。」

おわかりだろうか?みなまで語るのは野暮だと信じてあえて解説はしないが、「役に立たない塾」のコンテンツとしてこんなぴったりなものはないと感じた。
年齢も立場もごちゃまぜでOK。
何度やっても面白い。
やれば不思議と仲良くなってしまう。
しかもお金はかからない。

最高だ。さて、まずはどこでやろうか?

(こちらはFeel度Walkの様子を紹介した動画。イメージの参考に最適)


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