むいて食べる、グレープフルーツ
グレープフルーツを近所の高田さんにもらった。
高田さんの奥さんの実家は和歌山県の果樹農家で
庭でグレープフルーツも育てているという。
「できすぎちゃったからもらってくれない?」
喜んで!
と私は大量のグレープフルーツをいただいた。
グレープフルーツは軽やかな黄色に反して
片手に持つとずっしりと重い。
大抵は切るんだけど
今日は剥いてみたい、
なんだかそんな気持ちだった。
グレープフルーツの底に
親指を力一杯差し込む。
皮が厚い。
グリグリっと
皮をもいでいくと
爽やかな夏のかおりが空間に漂った。
心地いい。
みかんを剥く要領で
グレープフルーツもグッと房ごともごうとした。
房が破けて
果汁がじゅわぁっと溢れ出た
慌ててエキスを吸い上げる、
と一緒に房を食む。
酸っぱさとほんの少しの甘み、
そして後から苦味が口中に溢れる。
果肉のつぶつぶ(さじょうというらしいけど)の触感を確かめる。
優しく噛むとプチっと果汁を散らす。
房はどれも互いにしっかりとくっつきあってるし、
皮は厚いしで、
なんだか疲れちゃった。
その日は夜まで
手のひらに爽やかな夏の匂いが残っていた。
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