風穴 2

その風穴は樹海の中に現れた。

絶え間ない光の揺蕩いを映す葉っぱたちのある小径に
突如として
暗闇を目一杯抱え込む風穴に出会う。

クラスメイトのみんなも、先生も、
なんのこともなく風穴に入っていく。
だましだましに私も入っていった。

中には無音がこだましていて
暗闇が私の全身を覆い包んでた。

狭い
こわい

狭小の路を
ガイドさんのヘッドライトだけを頼りに
四つん這いに進む。

今にも360度囲う真っ暗な土壁が
今までの私とこれからの私、
全部無かったことにしてしまうような、消し去ってしまうような感覚になった。

ほとんど目をつむりながら
前の人のジャージの端っこを掴んで
なんとか進んでいった。
やがて緑色の柔らかな光が辺りを照らし出していた。

出られた。

あんな感覚
2度とごめん。

〜おわり〜

#文学 #小説 #エッセイ #日記 #自然 #哲学 #詩 #essay #literature #poetry #poetics #nature #philosophy #あたしのエッセイ