朝露と木の実の食事~かすみ嬢の居場所(51)
図書館で、授業の予習。
今しかできないからって、ずーっと勉強してる。自分で設定したノルマ通り、きちっきちっと進められるように。食を忘れられるから好き。
みんな、喫茶店とかファミレスとか、そんなとこに行って勉強してるけど、わたしは断然図書館派かな。
いちばん、食べないことが咎められないところ。「これから図書館で勉強するから」のひとことで、納得される。食べないことが美徳になる場所。一日中、図書館にこもって勉強しててもいいな…。
食べなきゃってプレッシャーもなくて、脳がフル回転してエネルギー消費になって。なんかね、いつもちょっとでも気を抜いたら、何かを食べさせようとされるようなそんな緊迫感があって。少し外に出たら、自販機にコンビニにカフェにファミレスに…って、手軽にカロリー摂取できるトラップがたくさん仕掛けられているでしょう?
そんななかに、図書館は本当にオアシスなの。
そんなつぶやきをしていたら、親しくさせていただいてる方から、こんなリプが届いた。
「図書館って独特の空気があって、本の匂いがしたりして、なんだかあれでもうお腹がいっぱいになるというか気持ちが一杯になっちゃいますよね。私は同じ理由で美術室が好きでした。油彩の絵の具の香りや木工の木の匂い、ニスや陶芸の土の匂い、デッサンのときの鉛筆の匂いとか」
「わかります! 言われてみれば、種類として同じ感じがします。私にはそんなに細かく嗅ぎ分けられないですが…笑 油絵の具に至っては嗅いだことがありません…」
うれしい気持ちになったので、本の話。
料理人の小説を読むのがすごく好きです。
「こんな味でこんなに美味しいよ」って記述を見ると、胸がほっこりするから。
でも、だからといってその料理を実際に食したいかというと、それは別のお話で。作者の人の舌と私の舌は違うから、作者さんが美味しいと感じるものを同じように味わえない可能性がたぶんにあるよね。そんなことでがっかりしたくなくて。
理想は理想のまんまがいいな。
だからさ、料理の出てくる本を読んでるからといって「食べたいんでしょ」って決めつけられるのには少し不満。あれかな。私にとっては「こんなに美味しいんだよ」って素敵な表現をたくさん使ってきらきらしてる小説は、ファンタジーみたいな感じなのかな。現実世界じゃないどこかのお話。
現実の食生活も、ファンタジーみたいにできればいいのに。
葉っぱで小さなコップを作って、朝露を飲むような。お皿代わりに敷いた葉っぱの上に、色鮮やかな木の実を転がせてみるような。
可愛らしいおままごとの延長みたいな、雰囲気だけを楽しんで「ごちそうさま」って言えたらいいのにな。
それが許されたらいいのにな。