絞られた袖口の半分未満の腕~かすみ嬢の居場所(21)
昨日一昨日と、結局丸一日何も口に入れられず、運動強迫も続いててふわふわしてた。
前に「そんなのは生き地獄じゃん」って指摘を受けたけど、私にとっては天国みたいな状況。自分で自分を律せずとも勝手に痩せ姫目指すレールが引かれてるみたいなものだからね。
ちなみに、今朝はすでに梨を3切れも食べちゃったから、今日一日はもっともっと運動できるんじゃないかな。梨ならば水分量も多いし、美味しいし、水分補給と思えば……まだ……。
ほら、この写真、わかるかな。腕、このくらい細くなりたい。糸みたいな腕よね。すごく綺麗。
そして、こっちの写真もね。
真っ直ぐな骨。透けるかのように綺麗に骨が見えて、何て神々しいんだろう。
私の今の夢はね、こんな綺麗な手になること。私の中の痩せ姫。もはや、ある種の芸術品だと思うの。
そんな痩せ姫になったらね、ふんわりふくらんだバルーン袖の真っ白なブラウスに、ふんわり広がる真紅のスカートをあわせたいな。絞られた袖口の半分未満の腕を、フリルの中から覗かせるの。
憧れの格好だよ。夢みたい。
脚だってそう。
性格の悪いことを言うとね、「うわぁ、モデルさんみたいな足だね」なんて言われるよりも、ひと目見て折れやしないか心配でたまらなくなって「細いね」なんて言葉さえ軽々しくかけることを躊躇させるくらいの痩せ姫になりたいの。
だから、痩せたい。
もう、理性では一気に落としちゃいけないとかすごくすごくわかってて、9月中旬の今、数キロでも落としたら、後期始まっても学校から即入院休学を求められるのもすごくすごくわかってるんだけど、今はすべてが痩せ姫へと通じる道のまわり道になってる気がするの。気が急いて仕方ないよ。
どちらにしろもう今はこれまで以上に、何かを口に含むのにも裏切ってる感覚がともなって。コップに口つけるだけで号泣してる。
ごめんね。動き続けられる限り動き続けるよ。がんばる。
「食べません、痩せ姫になるまでは」が合い言葉。