〇〇歳の小学生
いやぁビビった。
これは、昨年度末の話。
僕は期末テストの丸付け(手伝い)を終え、1学期の成績表の記入(手伝い)をしていた。
配属先の学校で発行する成績表は、当然の手書き。
僕は6年生のクラスに入り、児童の名前や成績を淡々と記入していた。
成績表の中には「Date of birth(生年月日)」の欄があり、図らずも僕はそこで児童一人ひとりの実年齢を知ることとなった。
彼らは小学6年生なので、日本の感覚で言えば多くの児童は12歳のはず。
ただ、ルワンダには”留年制度”があるのだ。
そして、この制度の名のもとに、基準の成績を下回った子は容赦なく無慈悲の咆哮を浴びせられ、一撃で留年になる。
そんな国の制度もあり、僕の配属先の学校では、同じ学年の児童であっても年齢が結構バラバラだったりする。
僕がこの時入っていた6年生のクラスにも、実際ちょくちょく13歳や14歳の子が混じっていた。
まぁ仕方ないよね、それが国で定められてる制度だから。
きっと本人たちも納得して受け入れているのだろう。
そんなわけで、成績を記入する過程で児童一人ひとりの生年月日を知りつつ「あいつ実は留年してたのかぁ〜」とか考えていると、突然驚愕の事実が目に飛び込んできた。
驚きのあまり、2度見してしまった。
その後、教室の奥に座っている本人の顔を見てからもう一度成績表を見たので、実質3度見したことになる。
もっと言うと、一応担任の先生に間違いないことを確認してもう一度見たので、厳密には4度見だ。
何をそんな4度見かますほど驚いたのかというと、彼の成績表の「Date of birth(生年月日)」の欄にはこう書かれていたのだ。
え…?
”2002年”生まれ…?
今は”2022年”だから…
”20歳”ッッッ!?
20歳の小学生…
彼は
ぶっちぎりの学年最年長だった。
いやぁビビった。
いや、確かに背も高いし、おっさんっぽい顔してんなーとは思ってたよ。
思ってたけども。
想定外だった。
20歳て。
合法的にお酒もタバコも嗜むことができる年齢。
順当に小学校の全課程を2周してもお釣りがくる年月。
彼が、どんな理由で”20歳の小学生”をやっているのかは分からない。
単純に何度も留年を繰り返しているのかもしれないし、そもそも小学校に通い始めたのが遅かったのかもしれない。
きっと彼には彼の事情があるはずなので、深入りもしないしバカにするつもりも当然ないけど、正直ちょっと気の毒な気分になってしまった。
だって、20歳って…
周りが12歳とか13歳とか、高くて14歳くらいの年齢層なのに、そこに混じって一緒に算数とか勉強しているのは、どんな気分なんだろう。
周りの子たちは彼と普通に接しているし、彼が特別クラスで浮いてる存在って感じでもない。
でも、さすがに心身の発達段階もだいぶ違うだろうし、世代のことを考えると下手したら同級生よりも先生との方が話が合うんじゃないかと思う。
学校終わりにバーに寄って先生と一緒にバナナビール飲みながら円の面積の求め方を復習してても不思議ではない。
「学校に通わせるよりも家の手伝いをさせた方が有益」という親の考えのもと、不登校になっている子も多い状況の中で、彼がなぜ小学校に通っているのか。
彼が小学校を無事卒業できたとして、その先に何が待っているのか。
その答えは分からないけど、とにかく彼には今年度こそ小学校を卒業してもらいたいと思う。
…てゆーか、
これ、再試験とか”救済措置”的なものはないのか…
「アフリカンタイム」なんて揶揄されるほど”時間”に関しては超絶緩いのに、なんで”留年”に関してはそんな融通利かないんだろう?
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