夫と向き合った先に待っていたのは〜始まりのカミングアウト〜
「実は借金がある」
この一言は、私の親に結婚の挨拶をしたあとに当時の彼氏からされたまさかのカミングアウトだ。
そう、現在の私の夫である。
この日の衝撃は今でも忘れられない。
正直、彼に貯金があるとは思ってなかったがまさか借金があるとも思ってなかった。
本題の前に、少しだけ彼の生い立ちを話そう。
彼は3人兄妹の長男で、両親は彼が高校生の時に離婚。その後は実家を出るまで母親と兄妹、4人で暮らしていた。
高校卒業後、大学に進学したが学費が払えなくなり半年で退学。その後は就職のため県外へでた。
その3年後、同じ会社で私と出会うことになる。
当時の彼は、親戚と金銭のことで少しトラブルになっていた。理由は、母親の入院費用。母親が体調を崩し入院していたことすら知らされていなかったのに、長男だから払ってくれと突然母親の兄妹達から連絡がきてそう言われていたそうだ。彼は、込み上げてくるいろんな心境を抱えながらも、できる限り仕送りをした。
彼は本当にとても心優しい人だ。
仕送りをするため自分の生活費をけずり、車も売っていた。
そんな中私と出会った。
当時の彼は自分がそんな状況であることは私に言わなかった。今思えば、出会った頃からずっと金銭的に無理をしていたんだと思う。
何も知らない私との時間を充実させるために。
それから1年ほど経ち、彼は自分の家庭の状況を話してくれた。貯金が全くできていないことも。
この話を涙ながらに話してくれた時、私は素直にこの人の支えになりたいと思った。
そしてさらにその半年後、私たちは結婚することになり、冒頭のカミングアウトを聞いた。
まさか、借金までしていたとはー。
心の中でこう思った。
なんで早く言ってくれなかったのか、なんで今日なのか、いろいろと言いたいことが浮かんできたが何一つ言えなかった。
気づいたら、
「そんなの大したことないじゃん」
と答えていた。
そして私たちは夫婦になった。
つづく