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読了レポ/『月曜日の抹茶カフェ』青山美智子さん

最近青山美智子さんの文章にハマっています。

Threadsには簡単な感想を投稿済みですが、
初めて読んだ『お探し物は図書館まで』に大変感動し、
続いて『木曜日にはココアを』『いつもの木曜日』そして『ただいま神様当番』を読みました。

どの作品も最初の一文からスっと物語に入り込むことができるので、あっという間に読んでしまいました。

今回は、『木曜日にはココアを』の続編としても楽しむことができる『月曜日の抹茶カフェ』を読みました。
『木曜日にはココアを』を読んだことがない方は、ぜひそちらを先に読まれることをオススメいたします。
ちなみに、『いつもの木曜日』も『木曜日はココアを』のスピンオフのような作品です。2作とも先に読んでおいて良かったなと個人的には思っております。


あらすじ

舞台は川沿いの桜並木のそばにある「マーブル・カフェ」。
定休日である月曜日に一度だけ「抹茶カフェ」が開かれました。
そこにたまたまやってきたのは、小さな不運
続きの携帯ショップ店員。
一杯の抹茶が東京と京都をつなぎ、12ヶ月の物語が描かれます。


『お探し物は〜』や『木曜日〜』では、心温まる素敵な短編集、という印象が強かったのですが、
この作品は『抹茶』がキーワードだからでしょうか、これまでに読んだ青山さんの作品の中で最も苦味や渋みのようなものを感じました。


なんだか冴えない生活を送っている主人公が、何かをきっかけに自分の人生を色鮮やかにできたり、誰かと出会うことで道がひらけたり…
現状に満足していない人の誰もが良い形で変化できたらそれはきっと素敵だと思うし、自分こそそのようなストーリーの主人公になりたいという気持ちがとてもあります🥹


でも、そうトントンと上手くいくことばかりではないですよね。


少し目を背けたくなるような人生の苦しさが絶妙に描かれていて、
またそれを自分自身とものすごく重ねてしまって、きっと私はホンモノのお抹茶を飲んでいるかのような顔つきで読み進めていたのではないかと思います(笑)


巻末には小説紹介クリエイターけんごさんの解説もあり、けんごさんは「どこか棘がある」と表現されていて「まさにそれ!!!」と読みながら深く深く頷きました。
そして、章ごとの短編という構成でありながら、『木曜日〜』も含めた長編小説である、という点にもとても納得いたしました。


「苦味」ばかり強調してしまって恐縮ですが、もちろん読んでいて辛いだけではなくて、
お抹茶には苦味を和らげるための小さなお茶菓子が付いてくるように、
優しさや励ましも多く感じることができる、大変素敵なストーリーでした。


知らない誰かと誰かが繋がって、そのまた誰かが別の人と繋がって。
国を超え、時を超え、たくさんの「ご縁」がそこかしこで生まれている。
でも、「どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、あっけなくちぎれてしまうくらい」、「ご縁」は儚く脆いものでもある。


小さな不運続きの冴えない一日だとしても、「ご縁」は産まれているのかも。。


今自分の周りにある「ご縁」に感謝し、大切にしたいと思わせてくれるお話でした。
繰り返し読んで、日々に感謝して過ごしたいと思います🍵✨

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