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筆の選び方 表現から選ぶ編その1 線の種類から選ぶ

皆さんは筆を選ぶ時に何を基準に選んでいますか?
表現の種類や画材との相性など、色々と考えることが多いので、筆選びにお悩みの方も多いのではないでしょうか。
そこで、筆選びのためのざっくりとした解説記事を書いていきたいと思います。
今回は線の種類から選ぶ編です。


線の種類から選ぶ

1. 長くて細い線を描きたいとき

日本画の骨描きのように、作品の線画部分を筆で描く作家さんにとって、細い線が描ける筆は重要です。
長く細い線を描きやすい筆の特徴は、以下のようなものです。

  • 筆に使われている毛が細い

尖毛、黒テン、シルバーフォックス、コリンスキー、イタチなどが挙げられます。

  • 筆先が鋭くまとまり、細くなっている

特に毛1本分の細さのような、極めて繊細な線が求められるときは、面相筆がおすすめです。細いごじっく筆も細かい描写にうってつけです。

  • 筆全体の太さが細い

筆の先端がしっかり細くなっている場合は、太い筆でも細い線が描けるのですが、線が太くなりにくい、という点では細い筆を選ぶ方が安全です。

  • 長穂筆

長穂筆は線描の際、手の振動を吸収してくれるので、多少手がぷるぷるしても線がブレにくいです。絵の具の含みも良いので長く描けますよ。また、長穂の筆はバネも使いやすいので、勢いのある線が描きやすいです。

長穂筆に関してはこちらの記事でも詳しく書いています。

長くて細い線には各種線引面相筆を是非お試しください。

また、細い線を書く持ち方についても併せて知っておくとなお書きやすくなります。


2. 細くて短い線や、細かい丸が描きたい時

基本的には、長くて細い線を描きたい時と同じく、

  • 筆に使われている毛が細い

  • 筆先が鋭くまとまり、細くなっている

  • 筆全体の太さが細い

という特徴のある筆がおすすめです。
細く短い線、特に細かい円を描く場合にはこれに加えて

  • 短穂筆

であることが大切です。短穂筆は、筆先の細かいコントロールがとてもしやすいため、極々小さい円もキレイに描けます。

細く細かい描写には、各種点付け筆及びごじっく筆(1号までのサイズのもの)、黒蘭の小さいサイズのものなどを是非お試しください。

3. 均一な線を描きたい時

線の最初から最後まで太さが変わらないような線が描きたい場合は、ぜひこまよせの筆(ごじっく筆)をお選びください。
ごじっく筆は、筆の穂の先端で毛を揃えているので、均一な線がとても描きやすいです。
1号サイズの細いごじっく筆だと細くて均一な線が、3号や4号サイズの太いごじっく筆だと、マーカーのような丸みのある均一な線が描けるので、テキスタイルなどにもおすすめです。

ごじっく筆に関してはこちらで詳しく解説しています。


4. 強弱のある線を描きたい時(書道など)

太かったり、細かったりと表情豊かな線が描きたい時には、ある程度太さがあり、ごじっく(こまよせ)ではない筆を選ぶことが大切です。
一般的な面相筆の太さの幅は、一番先端の毛1本分の細さから、筆の根本の太さまでになっています。(※筆の側面を使わない場合)
短穂のものは、特に筆にどれだけ圧力をかけるかで太さが変えやすいですよ。

こういった表現には、黒蘭の大きいサイズ、夕霧などがおすすめです。

筆選びの楽しみ

筆は用途によってデザインや種類が多岐にわたります。是非筆選びの参考にしてみてくださいね。
当店では筆の試し書きもできますので、お気軽にお立ち寄りください。

丸山雄進堂
大阪市中央区島之内2−6−23
06−6211−6226

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