筆の選び方その1 長穂筆のすすめ
長穂筆とは?
長穂筆とはその名の通り、穂、つまり筆の毛の部分が長い筆のことです。
長穂筆は含みがいい!
長穂筆は、短穂筆に比べて、墨や絵の具を多く含ませることができます。
筆は、墨や絵の具を毛に含ませて使いますよね。そのため、毛の量で、墨や絵の具を含ませられる量が変わります。つまり、同じ太さの筆だと、穂が長い方が含みが多くなるんです。
絵の具や墨をより多く含めるということは、絵の具を継ぎ足すことなく線を描き続けられることになります。これは、長く滑らかな線を途切れることなく描きたい時の筆選びでは、とても重要なポイントです。
こちらのビデオでは、シルバーフォックス線引き面相筆小を使い、一回でどれぐらいの長さの線が描けるか実演しています。およそ1分30秒の間、途切れることなく線を描き続けているだけの動画ですが、長穂筆の含みの良さや、線の描きやすさがよくおわかりいただけるのではないかと思います。
長い毛は手の震えを吸収してくれる!
筆の穂の長さは、筆圧の伝わりやすさに直結します。例えば短穂の筆だと、ちょっと筆圧を変えるだけで、簡単に線に強弱をつけることができます。
これは逆に言うと、ちょっと手が震えてしまった…といったコントロールの揺らぎも線に出やすい、ということになります。そのため、短穂筆で長い線を描こうとすると、手のプルプルが線にも伝わってしまって、ガタガタした線になってしまった…ということがよく起こるんですね。
それにひきかえ、長穂筆は、短穂筆に比べると、筆圧の変化は少し伝わりにくいです。これは、長穂筆の長い毛が、筆圧の変化や手の振動をある程度吸収するからなんです。だから、長穂筆を使うと、コントロールの揺らぎも伝わりにくくなり、滑らかな線が描きやすくなるんですね。
長い線を描くときは、筆を持っている時間も、筆の移動距離も長くなるので、多少の手の震えはどうしても起こってしまいます。なので、長い線、美しい線が描きたいときは、手の震えを軽減してくれる長穂筆を選ぶと、少し描きやすくなると思います。
長穂筆が活躍する分野
長穂筆はその含みのよさ、そして線の描きやすさから色々な場面で活躍しています。
例えば、陶器の絵付け。陶器の絵付けは、技法によっては、素焼きをする前の器に絵を描くこともあります。焼く前の土は、とてもよく絵の具を吸うので、絵の具の減りがとても早いです。そのため、筆の含みが悪いと、絵を描くことが難しくなってしまいます。それに加えて、曲面に絵を描くことも多いので、線の太さが描いてる途中で変わりやすく、線に強弱がつきにくい筆が好まれます。
長穂筆は、含みのよさ、線の強弱のつきにくさを兼ね備えているので、陶器の絵付けにピッタリなんですね。
そして、車などに細い線で模様を描くピンストライプ。長く滑らかな線が特に求められる芸術なので、長穂筆が大活躍します。
もちろん、美人画などの長く美しい髪の描写や、日本画の骨描き、水彩画の線画など、絵画の世界でも長穂筆は大活躍していますよ!
丸山雄進堂のおすすめ長穂筆
丸山雄進堂の長穂筆は、以下のようにたくさん種類があります。
尖面相筆
尖面相筆長峰
黒テンごじっく筆
紫軸シルバーフォックス長峰面相筆
シルバーフォックス超長穂面相筆
シルバーフォックス線引面相筆
黒狸金泥
尖面相筆はどんな場面でも使いやすく、油絵や陶器の絵付けでも繊細な線が描ける大変人気のある筆です。
シルバーフォックス線引き面相筆は、ピンストライプをされる方に特におすすめの筆です。もちろん、陶器や油絵などにもお使いいただけます。
黒狸金泥は、金泥や顔料など、重い絵の具でもシャープな線が描きやすい筆になっています。
筆に限らず、道具はきちんと選ぶと今までできないと思っていた描写が簡単にできるようになったりします。もし繊細で滑らかな線描に苦手意識を持っていらしたら、是非長穂筆を試してみてくださいね。
持ち方でも書き味が変わるので、持ち方の記事もご一緒にぜひお読みください。
お店の方でも詳しく解説いたしますので、ご興味があればお気軽にご相談くださいね。
丸山雄進堂
大阪市中央区島之内2−6−23
06−6211-6226
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?