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筆の持ち方その1 細い線の描き方編

筆の中で一番細い線が描けるのはどこでしょうか?

尖ごじっく筆

写真を見ていただいてもわかるように、面相筆などの多くの筆は、先端(命毛とも言われます)が一番細くなるようにデザインされています。

となると、筆で細い線を描こうと思うと、筆の先端をいかにコントロールするかが重要になってきます。

筆の先端を使いやすくする持ち方とは?

私がよくおすすめするのは、筆を立てる日本式の持ち方です。

葛飾北斎『略画総指南』後編 大英博物館蔵

こうすると、筆の先端が紙に対して垂直になりやすいです。

筆が紙に対して垂直になっている状態

この持ち方をするメリットは、筆を360°どの方向にも均一に動かすことができることです。また、絵の具が筆の先端に降りてきやすいため、滑らかな線も描きやすくなります。

持ち方を言葉で説明するのは難しいのですが、私は親指の関節と、人差し指の第一もしくは第二関節で筆を挟み、人差し指で筆をコントロールするイメージで筆を使っています。

持ち方の参考写真

筆を人差し指でコントロールするのは、人差し指が人間の体の中で一番細かい動きを制御しやすい部位だからです。第一関節を使うとより細かい描写がしやすく、第二関節を使うと少し長めのストロークが描きやすくなると思います。

この持ち方は、葛飾応為の『夜桜美人図』、ジョサイア・コンドルが浮世絵師で日本画家の河鍋暁斎を描いた『Kyosai sensei at Nikko, August.5』、写真家土門拳が画家藤田嗣治を撮った写真の中でも見られます。持ち方の参考に是非ご覧ください。

左から葛飾応為『夜桜美人図』、メナード美術館蔵、ジョサイア・コンドル『Kyosai sensei at Nikko, August.5』、河鍋暁斎記念美術館蔵、土門拳撮影の藤田嗣治(『土門拳が撮った「藤田嗣治」』より)

この記事に関連した動画もぜひご覧ください。持ち方の動画はこちら、詳しい解説付きの動画はこちらからご覧いただけます。

鉛筆の持ち方で筆を持つ場合

ここまで読んで、鉛筆の持ち方じゃダメなの?と思われる方もいるかもしれません。鉛筆の持ち方で筆を使われる方もおられますし、筆の持ち方にはこうじゃないといけないという決まりもありません。ただ、鉛筆を持つ時のように軸を斜めにしてしまうと、軸が傾いている方向に線を引く分には描きやすいのですが、それ以外の方向に向けての動きは、筆の構造上少し難しくなってしまいます。

筆の軸が紙に対して斜めになっている時
軸が傾いている方向に線をひくのがやりやすいです

特に、筆が傾いているのとは逆の向きに筆を動かそうとすると、「逆筆」といってある種の線を描くには筆のバネがよく使えて面白い表現ができるのですが、細い線を引くには少し難しくなってしまいます。また、軸の傾きに対して横方向に動かそうとすると、筆の腹が紙につきやすくなってしまい、太めの線になってしまう恐れがあります。

筆で細い線を描くのは難しい、と感じられる方も多いかもしれませんが、うまく筆が使えると、表情豊かな線や、信じられないような細い線を描くことも可能になります。ペンでは少しつけにくいようなニュアンスも出せるので、私が線画を描くときはいつも筆を使っています。

尖ごじっく筆と尖面相筆で描いた線画

丸山雄進堂おすすめの筆

丸山雄進堂の筆の中で、細い線が描きやすい筆には、

  • 尖ごじっく筆

  • 尖面相筆

  • 尖点付け筆

  • シルバーフォックス短峰面相筆

などがあります。試し描きもできるので、ぜひお店の方にもお立ち寄りください。筆の持ち方のレクチャーも行っております!

丸山雄進堂
大阪市中央区島之内2−6−23
06−6211-6226


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