感情がたかぶるほど冷静に、冷静なときほど感情をたかぶらせることの大切さ
人間は感情の生き物と言われる。
感情が動くことで、行動へのモチベーションが生まれる。
だが、かといって感情の赴くままが一番良いとは限らない。
むしろそれが弊害になることの方が多い。
人間は一人で生きていける存在ではない。
もともと人間の成り立ちからしてそうなのだ。
さらには、高度な社会的動物として着実に歩む現代は
もっともっと一人で生きていくのは難しい。
それは物理的に生きるということのみならず、
精神的に生きるということが、今日重要な価値と
みなされるようになったからだ。
精神的に生きるとは、人と関わって、社会の役に立ち、
誰かの役に立ち、自分の居場所があり、自ら充足することが必要だ。
ただ食べ物があればいい、寝るところがあればいいというわけではない。
感情をそのまま放出する生き方をしたとき、
先述の精神的に生きることとの両立はかなり難しくなる。
感情は狭く早く猪突猛進で突き進む傾向があり、
広くゆっくりと周りと調和しながら溶け込むという
心持ちが前に出なければ、他の人の気持ちや自分の置かれている場
を理解して、振舞おうとのゆとりが生まれない。
だから感情がたかぶるほど冷静になった方がいい。
しかしながら、常に冷静でいるということは、常に周りにあわせている
ということと同じだ。
自分というものが消え、自分がフロンティアで切り開いていくという
考えすら及ばなくなる。
複雑化し、スピードが速い現代においては、
人間一人の力など無力だという意識になりがちだ。
流れるままにまかせるしかない。
自分一人だけ頑張ってもどうしようもない。
それが、何もしないことを正当化する言い訳として通用してしまう。
人間とは周りに流されるだけの生き物ではないだろう。
逆説的だが感情に振り回されて、精神的安定を振り切って
新奇的な行動に出たりすることで、人類は発展してきた。
常に世の中をつくってきたのは、常識から逸脱した「変わった人」だ。
何のために生を受けたのか、よく問い直した方が良い。
与えられた生命を精一杯燃やしつくすのが、一番幸せなことではないのか。
だから冷静なときほど、感情をたかぶらせた方がいい。
常に自分の中に正反対の性格を持つ二人を飼いならすこと
言葉にすると「葛藤」だったり、「矛盾」だったりするかもしれない。
辛くなるので、どちらかに寄っていくことが合理的だ。
そこで大切なのは、二人を飼いならしている三番目の私を意識することだ。
自分自身をコントロールする自分。メタ自分とでもいおうか。
その三者が三位一体となり、バランスをとってコントロールする。
2頭の馬を馭者がたぐる馬車にも例えられよう。
それをしっかり根付かせるためには何が必要か。
それは三位一体が必須となる状況を積極的に作って、
経験を積むことだ。脳にその状態を覚えさせることだ。
冷静だけでは済まされない
感情だけでは済まされない
放置するだけでは済まされない
解決を見いださなければならない
苦しいがその状況を重ね続けることが、
人が一番幸せに生きるために大切なこと。
何と逆説的であろうか。
でも早く受け入れた方が勝ちだ。