見出し画像

中国で食材と戯る。(13) アンコウ

( 私が中国という国、土地で扱ってきた食材たち )
  ある時は店の為、ある時は自分の食事・好奇心の為。
ある時は、海外からの輸入物、日本からの輸入物、もちろん現地の魚、肉、野菜。
ある時は ”試行と錯誤”、ある時は ”創意と工夫”、そんなこんなで続けてきた、自身の調理と撮影。
仕事であり、趣味であり、日常であった 私のライフワークアーカイブです。

寄稿にあたっての自身のコメント  


" 鮟鱇 "                                                                 2014.12. 

 中国語も " 安康鱼 an kang yu アンカンユュ "。
その形状 (楽器) から” 琵琶鱼 pi pa yu ピーパーユュ "という名もあるが、現在は日本から輸入された二文字の ”鮟鱇” を多く使う。

深海魚であり、日本で知られていてもあまり多く見かける魚ではない。
中国も各沿海で平均的に水揚げされる様だが、量が多く無いようだ。深海魚なので、これは流石に養殖していないと見える。

 深海魚、ここに重要なポイントがある、海域環境の違いだ。

 日本には、国土の山、森林、恵まれた四季から生まれる豊かな腐葉土がある。
そこから栄養ある水が川を流れ、海洋に辿り着き、近海にいる海藻や微生物、小魚、それを食べる魚へと繋がっている。
私たち日本人は、その恩恵をもって、他国に勝る風味豊かな良質の海産物を享受して来た。

 日本の魚が美味しいというのは、島国で海に囲まれ鮮度が良く管理できているからだけではなく、良い環境で良い餌を食べて育ったということに起因するところが大きい。
 深い海の底、温度の低い、環境変化の少ない場所で大きな口を開け、イカやら、カニやら、貝や、ウニまで食べるという” 鮟鱇 "。
オコゼやアンコウ、不細工な魚が河豚に迫る美味しさをもつ秘密がある。

カウンターの流しの上に吊るして。

 一方、打って変わって中国の ” アンコウ "。
廉価というより低価格で、思わず『 便宜 pian yi ピェンイー!』=安い!なんて口にすると、中国人スタッフが 『 それは、海底でゴミを食べる、塵取りみたいな魚だから 』と言っていたのを思い出す。
確かに、ルンバみたいではあるが。。。。。

 中国の20年前、沿海から揚がった魚がどれも灰色の泥を含んだような状態であり、魚の鮮度が悪く無いのに、腹の中から異臭がする魚が多かった。それが海域環境の差。
日進月歩で扱われるものの質、状態がよくなっていく中国、2014年の冬に手にしたこのアンコウは随分綺麗だった。
( アンコウの解体は、別の機会に調理、撮影したものがあるので、また。)


アンコウの鍋


お品書き、POP作り

一つフォーマットとしての鮟鱇を描く。


絵を中心に。 
毛筆を持って、書道タイム。


店にコピー機やプリンターは無い。
イラストは重ねて転写、書は何回書いても同じ文字。


アンコウに見えないかも。

                      以上、アンコウの回でした。

 ▼ 記事追加。アンコウの吊るし解体を写真で。


いいなと思ったら応援しよう!