アテネの民主政からコミュニティについて考える -考察編-
前回、初投稿でTwitterで広報もしていないのにスキが6もついて個人的にとても嬉しいです!noteもこれからやっていこうと思います。
前回は『民主主義の源流』について読んで気づいたことをまとめました。
今回は、それを読んだ上でオンラインコミュニティのあり方について考えて行きたいと思います。
●目次
・オンラインコミュニティは不可避的にスクリーニングの機能を有している
・「参加と責任の両立」がオフラインコミュニティよりも困難
・専門化、集権化の問題が生じるのはまだ先
・さいごに
オンラインコミュニティは不可避的にスクリーニングの機能を有している
現在サロンやトークンエコノミーなどのオンラインコミュニティが多数存在しますが、そもそも人気のオンラインコミュニティにはどうしてそんなに人が集まるのでしょうか?
それは、オンラインコミュニティが特定の目的のもとに作られたものであり、その目的がトガっていればいるほど人の関心を惹きつけるからです。
例えば、KAZMAXさんのサロンはトレードの勉強、トレードによる資金UPが目的です。他にも、僕の入っているALISのdiscord内のコミュニティでは、ALISというサービスを盛り上げること、ALISを通してユーザーがつながることを目的として作られたものであり、ユーザーはALISの掲げる「信頼の可視化」というVisionに共感している人が多数ですし、reinventというコミュニティは海外志向の強い人たちの自己革新を目的に作られたコミュニティです。
このように、オンラインコミュニティは参加不参加の意思決定が自由な分、コミュニティに参加者の傾向には自然と偏りが生じ、そのコミュニティにふさわしい人がコミュニティの構成員になりやすいと言えます。
オンラインコミュニティは以上のように、アテネの民主政と同じようにスクリーニングの機能を有していることから、基本的にコミュニティのルールづくりや方針決定の上で全員参加の形を取っても、直接民主制で考えられる弊害(不相応な者が意思決定に加わること、意思決定の責任を他責化することなど)が生じる可能性が低いと考えられます。
僕的には、ベストな意思決定方法は株主総会のような形での意思決定です。一人一票、参加しない者は別の者に自分の票分の意思決定を委ねることができるという形であれば、全員参加の意思決定でもスムーズに進むと思います。
このような意思決定方法は以下の記事の「流動体民主主義によるDAO的運営」という副題のところに詳しく書いてあるので興味あればみて見てください。
「参加と責任の両立」がオフラインコミュニティよりも困難
アテネ民主政では、政治に専門分野の知識を有さないアマチュア市民の参加を確立させるために、参加者が最低限の教養を有していることを前提に、不正を働かないように市民に重い責任を負わせました。これが、「参加と責任の両立」というものです。
オンラインコミュニティの場合、そのコミュニティの運営に最低限の教養は不要(強いて言えば、コミュニティに関する知識?だがそれも特段必要ではない)だし、不正を働かないようにする必要もありません。
オンラインコミュニティで防ぐべきはコミュニティ発展の停滞、フリーライダーの出現です。
匿名性、参加・脱退のハードルの低さから、オンラインコミュニティはオフラインのそれと比べて、フリーライダーが増えてしまう傾向にあります。
フリーライダーとは、自らはコミュニティの恩恵を受けつつもそれを還元しないものをいいます。実社会で言う所の、「国から補助受けてるけど税金は払わない人」といった感じです。
本来ならば、「参加と責任の両立」を果たすべく、コミュニティで得た恩恵はコミュニティに還元していくべきなのですが、フリーライダーは基本的にコミュニティに利益を還元するような行動は起こしません。そして、大抵のオンラインコミュニティではフリーライダーの出現を抑制する仕組みが存在しないため、この点においてオンラインコミュニティには課題があると言えそうです。
もちろん、有料のオンラインコミュニティであれば金銭によって利益が還元しているように思えますが、僕の意見として、コミュニティは構成員の相互作用のなかで発展していくことでより飛躍的に発展できると考えるので、利益がオーナーの元にしか行かない場合は、コミュニティの発展は結局オーナーの依存してしまい、コミュニティとしては発展できないと考えます。
もちろん、有料が悪いといっているわけではなくて、「会員費の支払い」≠「コミュニティへの利益還元」ということです。
オンラインコミュニティでフリーライダーを抑制する方法としては、コミュニティへの貢献により可視化された利益を得られる評価経済的仕組みを取り入れるのがいいのではないかと思います。
ALISは実際にこの形で、信頼に値する記事にトークンという形でより多くの利益が得られるようになっていますが、コピペ記事を大量に掲載することで同量のトークンを得られる事態も生じており、抜け道があるので、課題はまだまだです。
また、フリーライダーの完全排除はコミュニティが大きくなればなるほど事実上不可能になるので、抑制に向けて努力すればそれで足りるとも思います。
専門化、集権化の問題が生じるのはまだ先
アテネ民主政が崩壊した内的原因は専門化、集権化による「全員参加」の民主政の形骸化にあります。
オンラインコミュニティで言えば、コミュニティ内でそれぞれの分野において発言力の強い者が固定化し、「強者」と「弱者」の差が大きくなった時に初めて専門化、集権化の問題が生じます。
「この分野について投稿しようと思ったけど〇〇さんの方が知識上だし任せるか」とか、
「運営のここに問題があるって自分は思うけど、〇〇さんが仕切ってるしまあいっか」とか、
そういうのが顕著になった状態が専門化、集権化の問題が生じている状態だと僕は思います。
この問題が生じるのは、小さいコミュニティであればあるほど生じやすいため、コミュニティが拡大されるにつれて生じづらくはなります。オンラインコミュニティは、まだできたばかりのものがほとんどではないかと思うので、集権化、専門化の問題はまだ先ですが、コミュニティの発展のためにはユーザーの発言力や影響力に流動性を持たせるのが大事と言えそうです。
さいごに
今までのをまとめると、
・オンラインコミュニティは直接参加の形態で方針決定、ルールづくりをするには適している。
・アテネ民主政の観点からして、オンラインコミュニティを発展、維持させるには以下の2点が重要
①フリーライダーを抑制するためにコミュニティへの貢献により得られる利益を可視化させる
②ユーザーの発言力や影響力に流動性を持たせる
こんな感じです。
書いてみたら案外当たり前のことだなって感じですが、僕もオンラインコミュニティの一構成員として、このような観点を持っていたいなと思います😄
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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