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短編小説 煙草と幸せ

短編小説 煙草と幸せ

今日は、気分が落ち着かなくて、部屋の中をぐるぐると歩き回っていた。その間、自分の腕に爪を立てたせいで、痕が出来てしまっていた。血が流れてきそうなほどだった。しかし、2時間後に恋人が来る予定だ。このままでは、会うことができる気がしない。出来たとしても情緒不安定な姿を見せて、心配をかけてしまう。

悩んだ末、サンダルを履いて、コンビニに向かった。着いてそうそう、レジに並び「23番1つ、後ライターも。」

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小説 金木犀が香るとき

小説 金木犀が香るとき

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 目がぼんやりと開いていき、だんだんと天井の木目にピントが合っていく。何年か前から目覚まし時計は持っていない。精神科から処方された睡眠薬を飲むようになってからは薬が切れると目が覚めるので、薬を飲む時間さえ考えておけば、寝坊することは無いし、その上職業上、大事な用事でもない限り少々の寝過ごしは許されるので目覚まし時計が無くて困ることは何もない。
 ベッドから起き上

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