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職場で死なない

死なないマガジン第二回目です。予告した通り、今回は仕事について書いてみたいと思います。

ちょうどついさっき、職場でかかっているラジオから椎名林檎の「労働者」が流れてきました。

ずらかりたいよ
おさらば
面倒はいやだ

椎名林檎 - 労働者

という歌いだしの曲なんですが、これほど「労働者」というタイトルがふさわしい曲がありますか??

パーソナリティが「職場を離れたい人の気持ちを歌った曲なんでしょうか(笑)」と言っていました。そんな曲を放送したら、職場でTOKYO FMを聴いている限界労働者のみなさんが狂ってしまうのでは、と心配になってしまいます。

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メール占いのバイトに入って2ヶ月で人格破壊された話でも書きましたが、私は結構何度も労働に打ちのめされてきました。

社会に出るまでは、自分の能力がそれほど低いとは思っていなかったので、適当な仕事で食いつないでいくことくらい簡単にできるだろうと高を括っていたのです。

しかし現実の結果は悲惨なものでした。私にはとにかく適応能力が欠けていたのです。

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何度も失敗を繰り返して気づいたのは、職場の空気に慣れなかったり、コミュニケーションでうまくいかないのは、自分のポジション(役割、立場)を確立できていなかったからだということです。

本当の自分が出せない、というような悩みは、そもそも問題の立て方が間違っていて、真の問題は、「私はこういうキャラクターです」と周囲に対して提示できていないことです。

つまり、自分自身をキャラ化すること。

なぜそんな面倒くさいことをしなければならないのか、と思うかもしれないけれど、むしろ逆です。キャラを演じること、つまり、この場面ではこのキャラはこう返すだろう、という共通認識をお互いに持つことができると、コミュニケーションはものすごく楽になります。というか、コミュニケーションが得意な人はみんな無意識にこれをやっています。

キャラ化することによって、会話がある程度予測可能なものになります。一番わかりやすいのは、ラーメン好きとかケーキ好きとか、何か好物を公表することです。

何が地雷かわからない状態で会話はできないですよね。だから、このあたりは踏んでも大丈夫、ということを示していかなければならないのです。

そのためには、自己開示をしなければなりません。この点で、なぜ自分のことを教えなければならないんだ、という抵抗感を持つ人がいるようです。

でも、別に嘘をついてもいいんです。それが自分をキャラ化するということです。嘘でもなんでもいいから、私はこういう人間です、ととりあえず言えば、相手は会話の糸口が得られます。

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キャラ化することによって想定内のパターンの会話をすることが、職場における理想のコミュニケーションです。ですが、今まで書いたことを否定するようですが、はっきり言ってこういう会話は本当につまらないです。

本来、会話とはもっとスリリングなものです。相手の言葉によって自分の価値観が変わって、相手にも同じことが起こる、その相互作用こそが会話の醍醐味です。その相互作用が働くとき、一人では思いもつかなかったようなことが閃くのです。

初めから自分をキャラとして規定してしまっていては、会話はすべて想定内のパターンに収まってしまいます。だからキャラ化が会話の本質だとは思わないでほしいし、むしろ死なないためには、本当の会話をできる相手が必要です。

ただ、職場での会話術として、キャラ化は有効なので、自分のポジションをうまく作れなくて会話ができないという人は参考にしてみてください。

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そして私が会社で死なないためにやっていることといえばもうひとつ、サボりです。

後ろめたく感じる必要なんてありません。仕事を遅らせましょう。ばれない範囲で、1日のうちの1時間くらいは好きなことをして過ごしてみましょう。

大事なのは、ただダラダラするのではなく、労働時間のうちほんの少しでもいいから、その時間を自分のために使うことです。日記を書くとか、本を読むとか、デスクワークなら机でできる範囲で。

現代人はあまりにも時間を搾取されすぎなので、少しでも自分の時間を奪い返してください。

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職場で死なない、というタイトルにしたものの、コミュニケーションの話で大半を割いてしまいました。労働についてはまだ書けることがいろいろありそうなので、いずれまた書くかもしれません。

私は仕事中に限界が来ることが結構あるので、職場で死なないというのはけっこうリアルな実感を持って迫ってくる課題です。まあ、死ぬというのは大げさにしても。

よい会社に勤めている人は環境を大事に。よくない場所にいる人は逃げるのも大事です。

いまの世の中で、心身を擦り減らさずに働けている人の方が少ないのではないかと思います。過労死の問題もありますが、鬱やパニック障害など精神的な問題で労働に支障が出ている人も多いです。

精神に不調が出るのは何もおかしくないというか、むしろ当たり前だと思います。手応えのない仕事を延々としてもお金もたいしてもらえず、趣味に費やす時間もほとんどない、そういう人が多いと思います。

そういう中で、やっぱり図々しくできる人ほど生き残るし、真面目で優しい人ほど苦しめられていなくなっていくのを何度も見ました。

私はどうするべきだろう? 図々しく居座るべきか、苦しめられる真面目で優しい弱者でいるべきか。

たぶん、真面目さと優しさを失わずに、すこしサボったり戦ったりするくらいの、死なないための抵抗の手段を身につけていかなければならないのです。

ちょっと用事があるふりをして5分くらい散歩をしてみるのもいいですよ。そうやって一瞬自分の時間を取り戻すとき、自分がずっと息を止めていたことに気づいたりします。

仕事に対して無責任になれと言っているわけではありません。でも、時間を奪われすぎだから、少し返してもらう。それくらいのささやかな抵抗をしていくことが、死なないための秘訣です。

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