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電柱と樹

電柱がよく目に留まるのだけど、惹かれる電柱の風景にパターンがあるなと最近思う。
好きなわりに自分であまり写真で残していないので、他の方のいい感じの写真をお借りしてまとめてみた。

電柱と空

遠くから黒いシルエットを眺める電柱の風景。電柱そのものより、電柱に引き立てられた空を見ている。鮮やかな空に長い電柱があると、なぜか風景が引き締まる。黒くて細い形が、緊張感を添えているのかもしれない。電柱の立つ空は一層高く、広く見える。


空の引き立て役を超え、もはや天体の一部となる電柱もたまに見かける。

電柱が一本だけあるのも、複数ある風景も好きだ。
一列に立つ電柱の風景。規則的に並ぶ電柱の遠近感は心地いい。

ランダムに佇んでいるのも、リズムがある。

空に亀裂を入れる直線や曲線。大胆に引かれた線は蜘蛛の巣や五線譜に、あやとり。空をキャンバスにしていろいろ遊べる。


線の綺麗さでいうと、鉄塔もいい。空に刻まれた精巧な模様が、細工物みたいだ。


電柱

今度は電柱の細部が見える近い風景。
そこかしこにある無機質な電柱が、生き物っぽく見える時がある。
雨風で変色した表面。絡みあって塊になっていたり、柱を這っていたりする電線。
都市の神経や血管が、むき出しになっている生々しさがある。あまり見たくないような、でも見入ってしまう。

東京にはいろいろな場所があるけど、
建物が次々入れ替わり、人工物が統一されずに増殖していく風景によく会う。
モノや人が、ちぐはぐに寄せ集まった様子。

その風景に居心地の悪さや不健康さを覚えることもあるし、
世界観の違う空間がすぐ隣に広がる楽しさ、
意外な組み合わせが偶然一つの魅力的な場所をつくる面白さもある。

電柱は時々、都市の無秩序で、混沌とした部分を体現するオブジェにみえる。

電柱と樹

直近でいいなと感じるようになった風景パターン。
時に生き物っぽさがある電柱も、
本物の生き物と組み合わさるとまた違い、双方が放っている空気の温度差に惹かれる。

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二つが並ぶと感じるのが、樹の情報量。形や色が複雑で、輪郭が繊細。葉っぱ一枚、枝一本に詰まっている機能の多さ、情報量の多さが生き物の迫力なのかなとか思う。

意外なのが、電柱の存在感も負けてないこと。電柱の方が細くて小さいのに。
写真にしたら存在感が弱くなってしまったのだけど、実際はもっと質量を感じる。
風雨にさらされても微動だにしない柱の、はっきりとした硬い輪郭。空を突く鋭さや、無表情なところが、なんかかっこいい。

上に向かう勢いを感じる樹と、重心が下の方に安定する電柱。磁力でも発生してそうな、二つの間の何もない空間も好きだ。

近づいて見える幹と電柱の表面の対比も面白い。
この写真の樹の肌は龍の鱗みたいに、ごつごつしていている。電柱の方は細かく砕いた石の混じったコンクリートで、ざらりと土っぽい質感。

こっちの電柱はコンクリートなのに宙に浮きそうな、重さを感じさせない色。プールの塩素の匂いがしそうな印象。

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あまり見ないけど、植物がまきついた電柱を見かけると嬉しい。

誰かが意図して作った作品みたいな佇まいの電柱。きれいに蔦をまとう電柱、自分も見つけてみたい。

自然に呑みこまれて、非日常感の増した電柱の姿も素敵だ。


終わりに

最初は自分で電柱の写真をぜんぶ用意しようと思ったけど早々にあきらめた。
写真を撮ったり、絵を描くのはなかなか頑張れない。加えてnote内で採集している風景を見てもらいたい気持ちもあり、
自分の文脈で他の方の作品を用いることを恐れ多く思いつつも、たくさん載せた。

今回使わせて頂いたものを含め、自分用に写真を集めていたマガジンを公開してみました。もしよければご覧ください。


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