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3本目『君よ憤怒の河を渡れ』(1976年)

君よ憤怒の河を渡れ

1976年 / 日本 / 151分
監督: 佐藤純彌
出演: 高倉健、原田芳雄、池部良


review

まずタイトルが良い。『君よ憤怒の河を渡れ』「フンヌ」ではなく、「フンド」らしい。

高倉健主演のこれぞ70年代日本映画というアクション大作。監督は佐藤純彌でフィルモグラフィーでいうと『新幹線大爆破』の次くらいだろうか。ついでにこの作品は中国で大人気なんだそう。なんでなんだろう。

無実の罪を着せられて逃亡犯となった検事が、事件の真相を追い求めて日本全土を逃げ回る。
ヒッチコックの『北北西に進路を取れ!』型の典型的な巻き込まれサスペンスで、一難去ってまた一難の数珠繋ぎで進んでいく。

そんな調子の大味大作ではあって、その大味さが良さといえば良さではある。とはいえ、150分は長いかな〜

ただハリウッド映画、それこそヒッチコックの映画だと土地勘がないので「ワシントンからニューヨークまで移動」というのがどれほどの距離なのかピンと来なかったりするのだが、日本の地名だからこそそこが実感を持ってわかるという良さはある。
北海道から飛行機で逃げて恐山にぶつかりそうになったり、いつの間にか水戸まで逃げてきていたりと聞くと「だいぶ近づいて来てる!」とわかったり。

あとはやはり70年代の日本映画ならではの良さとして、映画にバイタリティがある。
それを一番象徴するのが、新宿での馬に乗っての逃亡シーンだ。新宿の街中を何頭もの馬が駆け抜けていく。現代では絶対にできないシーンだし、「大都会を疾走する馬」という絵面だけでセンス・オブ・ワンダーに溢れている!

そういう絶対に忘れないシーンがあるだけで「見る価値あったなー」と思える。

最後にこの映画の珍妙な音楽使いについても触れておく。緊迫感があったり、大事なシーンになるとなんとも間抜けなアップテンポな曲が流れてくる。これがどうにも受け入れられなかった…

察するに『明日に向かって撃て!』とかアメリカンニューシネマの音楽使いを真似してるのか、あるいは「緊張感のあるシーンほど、あえて全然違う音楽を流すんだ!」という黒澤明の教えに従ったのか…。黒澤明の教えだとしたら、もっとここぞというときに一回だけとかだと思うんだけど。
そんな音楽使いも含めて見てみてほしい。


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