#55 [哲学] 形而上学や後の各分野の基礎となる考え方。
第8週 第6日(土)哲学「質料と形相」
1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365を読破しようという企画。
この本の概要についてはこちらを一読ください。
今日は哲学「質料と形相」です。
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本の要約
アリストテレス(紀元前384~前322)の質料と形相(けいそう)に関する理論は、彼の哲学思想のうち最も重要で最も影響を残したものの一つだ。この理論は、近代科学がまだ成立していない時代に自然現象を説明しようとしたもの。
■実体
世界は実体で構成されている。実体とは、文の主語になるようなもの。植物や動物など具体的な個々の事物。
実体の変化は人間の死などが当たる。
■偶有性
実体が持つ一部の性質のこと。例えば、「ソクラテスは青白い」ならソクラテスが実体で青白いが偶有性となる。
偶有性の変化は、その「青白い」が太陽の下で「小麦色」に変化するということ。ソクラテスにとって付随する性質に過ぎない。これが偶有性。
■質料
ソクラテスがたとえ死んだとしても死体は残る。実体が変化しても存続し続けるものを「素材」という意味で「質料」と呼んだ。
■形相
死んだあとに残った質料が変化し、それによって他の部分がどのように変化するかを決める構成原理・活動原理のことを「形相」という。
これを基にアリストテレスは、多種多様な自然現象を説明した。
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形而上学にも応用してそうな話。
形而上学では真に存在するものを探求する分野で、実体と属性に分けて考えることが基本となっていた。
属性は実体に付随する性質と考えていたので、今回の話で言う「偶有性」がそれにあたる。分野によって呼び方が違うのがまたややこしいな。
考え方のベースが今回の話と似ているので形而上学もこの質料と形相の理論に基づいて発展した分野なのだろう。
質料と質量
普段、目にする方はなんとなく「質量」の方だと思う。
「質料」はなんとなく違和感があるような。
質量とは、簡単に言うと物体の重さ。つまりその物体にかかっている重力の重さになる。
質料はアリストテレス的に、実体が実体たらしめるための材料、素材。人間の体のようなものを指す。
普段生活する上で、質料なんてのは考えないから馴染みがなかったのか。
ちなみにギリシア語で質料をヒュレー、形相をエイドスと呼ぶ。
こういった疑問が未来の科学に発展していく。
もし、今の時代のような常識としての科学の知識がなければ、おそらく身体について、植物や動物がどうなって構成されているかなんて気にもとめないだろう。
だからアリストテレスのような哲学者がいなければ、疑問が生まれることなく科学の発展もなかったんだ。
やっぱ答えがないものに疑問を抱くことってとてつもなく大事だな。