ツンデレ令嬢 ノコ
2023年3月28日(火)
2泊3日のスキー合宿も今日でおしまい。ノコ(娘小3)が帰ってくる。
今回は1日目に日帰りスキーとハードスケジュールを組んでしまったこともあり、2日目、3日目はなんだかのったりまったり惰性で過ごしてしまった。
今日は日中に里親会のお花見が市内の公園で企画されていたけれど、雨で中止。
行くつもりでいたが、その連絡を見るや、むーくん(夫)とまたベッドへUターンしてしまった。
とにかく眠い。
生活リズムを乱すと、もとに戻すのが大変なのはわかるが、今はただ静けさを甘受し、眠気には従順でありたい。
あらがう気力体力なし。
ノコをお迎えに行く駅周辺に立ち寄りたい美術展があるが、どうにも自分を奮い立てられず。
お迎え時刻ギリギリまでうつらうつらしてしまった。
解散時刻少し前に到着。
過ぎてはいないが、早めに来ていた保護者へ子どもの引き渡しがはじまっており、ノコの姿を探すとスタッフを中心とした子どもの輪のなかにいた。
私たちの姿を見ると、「遅い!」といわんばかり地団太を踏み、スタッフのかげに隠れ、睨んできた。
うーん、遅刻はしていないのだけどなぁ。
2日振りに会ったノコは、出発時※同様「お怒り」様で苦笑いしかできない。
これもまた甘えの裏返しなのだろうが、ノコは本当にさまざまな感情をまずは「怒り」という形で表出するのだなぁ、と複雑な気持ちになった。つまり、ノコの心のありかたを理解したい気持ちと遅れていないのに荒々しく足を踏み鳴らされて不快なのと…あぁ、そうだ、私はげんなりしたんだ。
「パパァ、ママァ」と駆け寄り、甘えてほしいとまでは思い描いていないが、「ただいま」とノコに笑ってほしかったことに気付く。
私はそれを心の片隅で期待していて、そうでないノコの態度に嫌気がさしたのだ。まったくノコのやり方は損だ。素直に甘えれば、穏やかで和やかな再会になるのに。
これじゃあ、まるで漫画によくある「ツンデレ」悪役令嬢じゃないか。
ん??? そう思えば、少しは可愛く感じるのだろうか。
――わたくし、ちっとも待っていなくってよ。あなたがたなんて必要なくってよ。
心のなかで不満顔のノコにアテレコしてみたが、ちょっと無理がある。
むーくんがノコにいう。
「3年生にもなって、足ドンドンはねえんじゃないか。恥ずかしくないか」
ノコが眉間に深く皺を寄せて、むーくんをねめつける。
「何年生かどうかって、関係ないし。そういうのムカつく」
――年齢がいくつかどうかなんて、関係なくってよ。とても不愉快でしてよ。
むーくんがそういいたくなるのも心底わかるが、正論はノコ。足を踏み鳴らすのは、2歳だって80歳だって失礼な態度だ。
うちのツンデレ令嬢ったら、いうことは本当に一丁前なのだ。
ノコは私たちがスキー場に出現したことには見事にふれず(きっともう忘れているのだろう)、スキーの上のクラスに上がる審査に受からなかったこと、とても難しく、ノコの班からは誰も合格しなかったこと、夜パパとママに会いたくて泣いてしまい、スタッフに2晩ともなぐさめてもらったことをいい、「お腹空いた」でしめくくった。
家の最寄り駅まで待てないと散々いうので、解散した駅で夕食を探す。
お蕎麦屋さんに入り、ノコはたぬきそばを注文。
出てくるのを待つ間も「まぁだ、まぁだ?」と騒いでいたが、いざ目の前にくると数口で「お腹いっぱい」とむーくんへ押しやった。
ついノコの空腹発言を信じ、へぎ蕎麦を2人前頼んだむーくんが目を白黒させる。
そして、食事は残したのに「アイス食べたい」とのたまう。
食事残しもアイスねだりも合宿中は自分で持っていた大小2つのリュックをちっとも持とうとしないのも、す・べ・て ノコの甘えだ。
そう、全身でノコは叫んでいるのだ。
――2泊3日。
――わたくし、頑張りましたのよ!
懲りずに私は脳内でノコを「ツンデレ」令嬢に仕立て上げる。ドレスを着たノコはパシリと扇子を打ち鳴らし、形のよい顎をつんと反らす。
――あなたがたに静寂をあげたのですから、わたくしをもっともっとねぎらいなさいな!
※ 出発時のノコの怒り:3月31日UPしました。