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憧れの暮らしを思い描く

2023年3月18日(土)
 昨夜からの雨はまだ続いていて、台所に立つと、雨音が聞こえる。
 むーくん(夫)の勤務は暦通りでないが、今週は土・日曜日が休み。ノコ(娘小3)と珍しく重なる。昨夜、定期運行から引退する特急車両651系に乗りに出掛けた父娘はまだ夢のなかだ。

 私はひっそりベッドを抜け出して、私時間を楽しむ。
 やかんでお湯を沸かし、ゆっくり白湯を飲む。テーブルの上を整え、朝食の用意をする。
 タブレットでオンライン・ヨガのアーカイブ動画を再生し、細く開けた窓から流れてくる雨の匂いがかぎながら、ゆっくり身体を伸ばす。
 朝にヨガをはじめて気付いたことは、同じことを同じように繰り返すことの大切さだ。
 同じ時間に、同じ場所で、同じような動きをする。
 そうすると、心身の小さな違いに気付く。
 いつもはこうなのに、今日は違う。なんでだろう。
 心当たりが浮かぶこともあれば、ちっともわからないこともある。
 違いが朝のうちにわかれば、今日一日をどう過ごすか小さな指針が立つ。

 まず、ノコが起きてきた。
 昨夜、だいぶ遅い就寝だったのに思いのほか早い起床だ。
 終日雨予報なので、今日の洗濯物は乾燥機とサーキュレーターをまわしながらの室内干しになる。
 むーくんを起こし、朝食をとる。
 なかなか食卓につかないノコもむーくんがいるとわりと早めに食べはじめる。先週から、9時半までに食器をシンクにさげなければ自分で洗うよういっている。
 休日の朝、ノコがいつまでたっても朝食を食べないと私が苛立つ。なぜかと考えたら、なんていうことない、「朝食の後片付け」という家事がいつまでも終わらないからだとわかった。
 「9時半過ぎたら、ママは洗わないからね。自分で洗ってね」
 今朝もそう宣言する。
 「でも、どうせパパのは洗ってあげるんでしょ」
 ノコが口をとがらせていう。
 「洗いません。パパだって自分で洗ってもらいます」
 私がそういうと、ノコはすっきりしたようでノコ好みにカリカリに焼いた食パンにかじりつく。パンとパンをわざわざこすりつけて、パン屑を散らす。テーブル下で小鳥でも飼うつもりか、といいたくなる。

 洗濯機のブザーが鳴り、一回目の洗濯が終わる。
 「二回目まわすから、洗濯物がある人は早く出してね」
 そう声を掛けて、干す支度にかかる。

 家庭内に大人が二人いると全然違う。ワンオペ育児より絶対ツーオペ育児だ。
 ノコの食事の進み具合を気にせず、洗濯物を干せる。食べ終えたら、すぐ学習塾の宿題(5分で終わる程度の!)をやるよういわなくてもいい。とにかくノコから目を離して家事ができるだけで違う。さすがに小学3年生、見ていなければ怪我をするようなことはないが、やるべきことを放ったらかしにして本読みやダンスをはじめてしまう。楽しいことは大切だが、それらをやりだしたら、ノコはこっちがいくら声を掛けても生返事しかせず動かなくなる。それが厄介なのだ。
 洗濯物を干しながら、大人が二人いることのありがたさを噛みしめる。
 学校がない日は、いつもむーくんがいれば助かるのになぁ。

 午後からノコの習い事がある。
 送迎はむーくんがするので、夕飯の支度の前倒しは不要だ。

 私は専業主婦ということもあり、家事とノコのお世話の割合が多い。ノコに手が掛かる今、外へ働きに出たいわけではないが、思い描く暮らしはある。
 夫婦それぞれが仕事、家事、自分の時間、家族の時間、夫婦の時間、睡眠、ぜーんぶ全部同じくらいで、それでかつ生活が成り立てばいいのにな、と思う。
 どちらが何をするとかっちり分けるのではなく、得意なことを得意な人がして、二馬力で毎日をまわしていければ、人としてバランスよく立てそうだ。
 今すぐにできなくとも、思い描いて意識すれば、少しずつ近付くかもしれない。
 憧れの「二馬力生活

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