はじめの一歩はアナログか、デジタルか。
#20231207-312
2023年12月7日(木)
今時は、最初からデジタルのほうがいいのだろうか。
ノコ(娘小4)がサンタクロースにお願いしたこの冬のクリスマス・プレゼントは「漫画家セット」だった。
インターネットで検索してみると、原稿用紙やスクリーントーン、Gペンなどが入ったセットがいくつも出てきたが結構いいお値段だ。
昔取った杵柄ではないが、画材店でアルバイトをしていたことがある。
クリスマスをはじめ、プレゼントの季節になると棚にある商品を組み合わせてセットを作った。小さな子には幼児用の握りやすい形のクレヨンに塗り絵、安全性の高い粘土。敬老の日が近くなれば、初心者向け油絵具のセット。旅先の景色を絵葉書にして送れるよう、水をつけた筆でなぞると水彩画のようになる水性色鉛筆に筆、ハガキサイズの画用紙のセット。目的に応じて、あれこれ考え、お客さんが手を伸ばしたくなる価格でまとめる。
漫画家を目指していたわけではないが、中高生時代は画材店に通って、私のお小遣いには高額なカラーインクを少しずつ集めたりもした。Gペンやスクリーントーンを使ったこともあるが、友だちにイラストも漫画もうまい子たちがいたので、のめり込み損ねてしまった。
漫画を描くというより、道具を使うのが好きだったのだと思う。
どうやってできるのかを知りたかったし、自分でも試したかった。何事もひと通り体験すると落ち着くのだ。
久し振りのセット組みに心が躍る。
こっそり大型画材店へ行き、漫画用の原稿用紙やGペン、ペン軸を選ぶ。ノコが使えるとは思えないが、気分を上げるためにもスクリーントーンも選ぶ。応用がきく網点と遊び心がある柄にする。カッターマットや筆ペンなど百円均一ショップでいいものはそちらで購入する。
これらをファスナー付きケースに入れれば完成だ。
夢中になって工作や手芸をすることがないノコは、あまり手先が器用ではない。練習する回数が少ないのだから仕方がない。
時代も時代ゆえ、デジタルからはじめたほうがハードルが低くなるだろうか、と悩んだ。道具を使いこなせなくて、描くことを楽しめないのならやりやすい手法を選ぶのも手だと思っている。ただ手先を使うことは基本だ。ないがしろにしたくない。
ノコがインクをペン先につけて描くつけペンを使えるか、かなり怪しい。インクがしっかり乾くのを待って、紙が破れないよう、皺を寄らないよう消しゴムをかけられるかも怪しい。
いや、そもそも億劫がって下書きをしないのではないか。
道具を揃えたものの、ノコのことだ、1回触ったら懲りてやらなくなりそうだ。
私のお古でよかったように思うが、サンタクロースへのお願いなので中古品を贈るわけにもいかない。
アナログを選んだことが吉と出るか凶と出るか。
デジタルなら道具の片付けや手入れもない。一瞬で描いたものを消せるため、消しゴムかけの難しさと面倒さもない。
アナログは手先と脳をつなげるだけでなく、インクの乾きや紙面の状態を左右する天気も意識にのぼる。
アナログあってのデジタルだと叫ぶ私がいる反面、手間を省くことで描くことへの難しさを取り除くことも大切だと思っている。
ノコはどっちだ。
どっちだろう。