今夏の展覧会記録②マティス展など
10月に入った途端、過ごしやすい気温になったような…
秋学期、心機一転のりおです。
昨日に振り返った夏の展覧会記録ですが、もう少し書き留めておきます。
1)マティス展
ポンピドゥーセンターが長期休館ということで実現した今回のマティス大回顧展。フランスに行くことは、このあとしばらくないんだよなぁ、と思い東京都美術館へ足を運びました。
覚悟はしていたけれど、溢れかえる人・人・人。
大阪での企画展も人は多いけれど、上野の人出はやはり桁違いだといつも思う。
「話題のスポット」的な感覚で美術館に行くのでしょうか。スマホで写真を撮ることもできるし、オーディオガイドも人気ですし、美術館に行く感覚は人それぞれなんでしょうね。
会場内は色鮮やか!「色彩の魔術師」の異名は伊達じゃない。
事前に五郎さんのYouTubeやネット記事なんかで、情報入れておいたのですが、実際に作品を見ると圧倒される。
動画でもあるんですが、象徴主義であったギュスターヴ・モローの教室からフォーヴィスムの画家たちが育っていくのは面白いですね。モローが自分の主義を押し付けなかったおかげで、あんなに自由な(笑)画家たちが育っていったんだなぁ。改めて先生って大事なんだなと思うわけです。
(ちなみにドイツ象徴主義のフランツ・フォン・シュトゥックの教え子たちはパウル・クレー、ワシリー・カンディンスキーといった抽象主義の画家がいます。こちらも先生と全然違うじゃん、という面白さ)。
展覧会に話を戻します。
人混みの中、一通り作品を見て思ったのは、「この人本当に病弱だったんだろうか」ということ。マティスは病弱で、そもそも画業のきっかけも入院生活とのことですが、そんな弱い人がこんなに色とりどりの絵を描けるんだろうか。
これは彼の展覧会に限らず、毎回思うのですが、絵を見るってものすごい体力消耗するんですよね。見るだけでこれだけ…ということは描いてる方は命懸けなんじゃないかと。
そんな感想をとりわけ強く抱いた今回のマティス展ですが、展覧会の締めくくりで疲れが吹っ飛ぶ映像を見ることができました。
南仏・ニースのロザリオ礼拝堂の4K映像です。
晩年のマティスが全てを手がけ、本人が「最高傑作」と呼んだロザリオ礼拝堂。
山田五郎さんも「美しい」と大絶賛していた映像でしたが、本当に美しかった。
ステンドグラスに光が差し込む様子は、別世界でした。
(展覧会で見た映像をここに残すことはできないので、YouTubeで見つけた動画を貼っておきます。英語解説ですが、頑張れば聞き取れる!)
“CHAPELLE DU ROSAIRE”で検索すると、色々出てくるので、展覧会を逃した方はぜひ美しい写真や映像を探してみてください。
ちなみにミュージアムショップは大盛況。シーレ展の時もそうでしたが、都美のショップって、いつも激混みなんだよなぁ(私はまんまと白黒対になったグラス都、モンステラの葉(マティスの好きな観葉植物)を買ってしまいましたよ)。
2)ABSTRACTION 抽象絵画の覚醒と展開
この夏は初めてアーティゾン美術館へ行きました。
マティス展の翌日に行ったのですが、ちょうどこちらも近現代の企画展。
こちらは250を超える展示数で、もう、ちょっとキャパ超えてました。笑
もちろん始まりは、お決まりのセザンヌ。この一年ほど、頑張って美術館に足を運んで、無学なりに見て回っているわけですが、ここまでくるとわかる。いつもセザンヌから始まる。セザンヌはすごい。(ただ、どこを勉強するにしても、古典を勉強しろと言われている私たち学生です)。
かなりの序盤からポカーンしていたところに、「おぉ!」となった作品を見つけました。それがこちら。
ちょうど、その前に西美の常設で見た作品と比べると面白い。
同じ街を描いた2つの作品、制作年代にはおよそ40年の開きがありますが、その作風の違いに驚きます。
ラウル・デュフィは初めましての画家ですが、こういった書き文字には見覚えがあります。20世紀の流行と見てもいいのでしょうか。
まぁ、こういった発見をしつつも、とにかく作品数が多く《無題》が増えていくに連れ呆然とする時間が増えて、完敗という雰囲気でアーティゾンを後にしました。
9月に入り、ダダやシュールレアリスムのお話を聞く機会があったので、その後に観に行きたかったなとも(この企画展の会期は8月20日までだった)。
と、まぁこの夏は短期間でしたが、一応展覧会に行く時間を設けることができました。本当は寺院巡りなんかもして、仏像を見に行ったりしたかったのですが、奈良も滋賀も京都も暑いし、どこにも出かける力はありませんでした。
秋の終わりに振り返り記録ができるよう、お出かけできるといいなと思っています。
ここまでお付き合いありがとうございました。