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かなしい記憶を独り占めするために 氷の世界から貴重な土を取り寄せて 決して見ないよう手を汚しながら まじないのように問う 只ひとりの窓辺で 待つことをやめながら 水平線が蠢くのを 塊になって見詰める
何もいらない 嘘をつくから ずっとひもじい さみしいですか
わたしがはなれたひとに会わないのは 前と変わらないと錯覚してしまうから かんたんな気持ちのままでいたかった あなたと話してるわたしが好きだった 誰かがきずつくかもとかもういらない ふくざつな気持ちなんてもういらない ぜんぶ受け容れてくれなんて わたしもすごく残酷だったね あと伝えていないことはあったかしら さっき見た白い雲がもう消えていたの
あなたはとめてくれないのに 自分でさえとめられないのに 夜空とこころはおそろしいもの だからやんでくれと必死に祈る この山を越えれば この谷を歩けたら きっとだいじょうぶ そしてまた画面の中の あなたをさがす旅
あおい空 しろい雲 真白な線 轟音 こんど直接はなそう あなたの声をきこう そうおもうばかりで どんどん忘れてゆく まじわらぬ人生よ せめて傍に居たい やさしい言葉だけ かさねてゆきたい どこにもいかないで そう思いながら ゆっくりと 手を振る
思い出を歩く 久々の駅で電車を降りました むかし住んでいたところです 駅前におもかげはありました 過去の家への道すがら もの思いにふけったあの通りはもうなくて 歩道橋をのぼったりトンネルをくぐったり 家は外壁がこわされていて 中身はまだあるようでした このまま解体されるそうで わたしが 洗濯ものをほしていたベランダが見えました 思い出とはわかっているけれど 元々の心もとなさに拍車がかる うらの階段にかげろうが横たわっていました より所をなくしたわたしは もうさよなら
きみは、自分用のだれかが欲しいだけなんだろ
きみが最後に言ったこと 今でもぼくをうち抜いて 時折僕を生かしてくれる
話したいことなんか特になくて、ただ一緒にいたかっただけなんだよ、神さま
やる瀬なく寝ころぶもあらがえぬ月あかり 満ちてても欠けてても裸目では変わらない 今宵も月が綺麗ですね 今宵も月は綺麗ですね
これできみ以外、すべてそろったよ。
おなじ傷のふたりは 遠くはなれた場所で おたがいを信頼する 君は君のやりかたで 立ちあがり空をあおいで 今この瞬間 笑おうね
お互いの青春をお互いしか知らないのに もう二度と会えないっていうのは その時間の記憶外部メモリが 数十年間何処かには在る 不確かハカナイ現実だね
はき出したくない寂しさってある 寂しさに耐えることが 支えになってることもある そして今にも崩れ落ちそうではき出したい気持ちが 頭の中でくり返されていく