思い出を歩く
久々の駅で電車を降りました
むかし住んでいたところです
駅前におもかげはありました
過去の家への道すがら
もの思いにふけったあの通りはもうなくて
歩道橋をのぼったりトンネルをくぐったり
家は外壁がこわされていて
中身はまだあるようでした
このまま解体されるそうで
わたしが
洗濯ものをほしていたベランダが見えました
思い出とはわかっているけれど
元々の心もとなさに拍車がかる
うらの階段にかげろうが横たわっていました
より所をなくしたわたしは
もうさよならがいえません
今を生きるしかありません