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公教育現場から考える、アートのこと、こどものこと③人はゆっくりと成長していく

小学校の先生を始めて
あっという間に4ヶ月が経ちました。

週2日の通学は、毎週面白いくらいドラマがあって
同時にUMUMのワークショップも対面再開したりと
書きたいことは溜まっていく一方。

そんな中でも、今回の気づきは
なんだかとても大事だなと思ったのでメモがわりに。



それは
ひとはゆっくりと成長していく
ということ。
まるで季節の移り変わりのように
振り返ればここまできたんだね
という感じで。

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2年生のここ最近の授業はえのぐ。
初めて自分のえのぐバックを配られて
お水の量から筆の使い方
塗り分け、混色、塗り絵
絵画表現技法
写実表現から抽象表現まで
毎週くどいくらい練習しています。

2時間授業の構成は
道具の準備  30分
えのぐの練習 30分
片付け    30分
全部で90分。

びっくりするかもしれないけど
40人弱のわんぱくどもが
棚から自分のえのぐバックを出し
図工マットを机に敷き
パレット、ふでなどの道具を出し
順番に水道にあるバケツに水を汲みにいき
一通りのセッティングを終えて
先生から課題の説明を聞き
配布物が配り終わるまで
余裕で30分かかる。
片付けも然り。

でも話はそんな簡単じゃない。
40人のわんぱくどもは
ピンとした担任の先生ではなく
このゆるゆるな先生が見守る
図工室というスペシャル空間では
テンション爆上がり。
道具調達ついでに
水汲みついでに
立ち歩き
ちょっかいを出し
追いかけ&逃げて走り回り
最終的にケンカが始まる。
さらにその仲裁に入ろう
注意をしようとする人たちも混ざり合い
え、戦争?
あっちでは筆を洗うバケツがひっくり返り
こっちでは誰かが泣く事件
もじもじトイレ行きたいなんて
え、同時多発テロ?

やいのやいのやいの
そして、先生(わたし)がプッツンし
授業が止まる。

こどもたちが
「用がないときは座って待っている」
はまじで奇跡なのである。

「授業やる気あんの?」
と怒るわたし
怒られてやっとしゅんとするこどもたち
他のクラスメイトに迷惑をかけたこと
自分の行動や言動を振り返って
謝罪して
ふう、授業が再開。

....15分後には
また戦争が始まる。

気づけばパレットが真っ白なまま
60分経過していた日もありました。
授業が(大して描いてないのに)時間内に終わらない日もありました。



聞いてる(読んでる)だけで
やれやれと思いますでしょう?
これを一日3ターン×2日やるわたし、ほんとえらいと思う。
他の先生にも
「よくブチギレませんねえ」
と言われますが
いやいやキレまくってます。
キレる免疫がなくて自分でも震えてます。



ゆるくやるのも規律の上。
わたしも人間、あなたも人間。
疲れもするし
声も枯れる。
ふつうにむかつくし
いい加減にしてと呆れもする。
それらを隠すのももうやめた。

でも先生として
「きみを信じたい」という姿勢は貫いてみる。
チャンスはいつも用意しておきたいと思う。


授業を重ねるごとに
こどもたちが、授業の構成と
わたしのキレボーダーをわかってくる。
わたしもこどもたちに合う授業がわかってくる。
こんな説明と板書を組み合わせたら
みんなは話を理解しやすいんだ。
わたしの説明の言い回しにグレーな部分があると
それが騒ぎの元になったりするんだ。
活動が面白ければ、みんな自分のやることに自然に集中できるんだ。

手が早い子には手伝いをまかせ
ここは話を聴くとき
ここはおもいっきり制作するとき
ここはうまく分担するとき
理解し合うって大事だね。

互いの理解量に比例するように
だんだんとえのぐの練習プリントが
みんな時間内にできるようになり
片付けまでの時間
自分のクロッキー帳に
好きな絵を描く時間もとれるように。
キレながらもわたしがみんなを好きでいられるのは
準備したプリントを
後半の自由画タイムを
本当に楽しそうにやってくれるからだと思う。
えのぐの扱いも作品も
もちろん日に日に良くなっているし
クロッキー帳とプリントを乾燥棚に出しに来るとき
作品について一声かけるとすごく嬉しそう。
感想には
「来週の図工も楽しみ!」
って書いてくれたりして。



そんなえのぐ練習も、今週で7回目。
残すところ、あと1回。
今もなお
ケンカもあるし
事件も起こる。
だだこねこどもをひきずって
教室に強制送還することもある。

でもなんやかんやで彼らは
毎週笑顔で図工室に現れ
飽きずにえのぐの準備をして
時間内にやるべきことをやり
目の前の色や形に素直に反応しています。
授業態度や作品から出る個性によって
同じ制服と髪型&マスクの子たち1/180の名前を
わたしもかなり覚えてきた!
これまで屍と化していた、帰りの電車でこんな記事も書けている。



ああ、そういうことなんだ。
人は、できないことを
ある日突然、完璧にできるようにはならない。
三歩進んで二歩下がって
でも一歩くらいは進んでるのかもしれない。

行きつ戻りつしながら
じっくりとゆっくりと
1日単位では注視しないと気付かないような変化が積み重なって
それが振り返ると成長に繋がってる。
当たり前すぎることなんだけど
改めて実感しました。

しかも、これって大人にも言えること。
あれができない。
これができない。
成長できない。
できないからやめた。
そんなことしょっちゅうだけど
わたしもあなたも
長い目で見たら
成長できているのかもしれない。
気付いたら日が短くなって
気付いたら風があったかくなってたりするように。

だから好きなことって
長い目で見れるくらい続けられるから
成長に気づけて
より好きになれるんだね。



先生の仕事は、本当に「待つ」こと。
行きつ戻りつを、一緒に体を揺らしながら
波みたいだねーと笑えること。
そして見えた成長や変化を伝えること。

小学校の先生任期は
あと半分くらいしか残ってないけど
まだ頑張れそう!
声を枯らさないキレ方、考えようっと。

いつも長文を読んでいただきありがとうございます! サポートは、企画のための画材&情報収集に活用させていただきます。