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メンソール

あの夏の日は私のものでした
うるさい蝉の声もやけに他人行儀な赤々と燃える夕焼けも
校舎裏でたださめざめと泣く私のその横で
ただ、メンソールの煙草を咥えているその姿も、ただ私のものでした
鬱陶しいほどに煙たい空気を
副流煙など気にせずに私はあなたから出た空気を吸っていたいとおもったものでした
私の背中をさするその手が暖かくて
メンソールの煙草の匂いが染み付いていて
私の眼から出る冷たい水などもう忘れて
帰らなくてもよいとその苦さが教えてくれていました
お元気ですか、おげんきですか
私のものだった夏の日
おげんきですか
わたしはいま

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