金正恩の髪型と侍。インフルエンサーとマーケティング。
金正恩はあの独特のヘアスタイルが印象的だ。北朝鮮では、男子たちが正恩ヘアーを奨励されていると聞く。
はたして、北の若者たちはその髪型をカッコいいと思っているのだろうか。言うまでもなく、大衆の価値観を変えるというのは相当困難なことで、だからこそ現代ではマーケティングがビッグビジネスになっている。
ここで視点を変えてみると、実は歴史上日本でも変な髪形が「カッコいい」こととされ、全国的に普及していた。そう、ちょんまげだ。
ちょんまげを流行らせた人は相当なインフルエンサーか、すごいマーケティング力があったに違いない。そして絶対ハゲだ。
「ハゲている方がカッコいい」と大衆に思わせるのは、マーケティングとして歴史上最高の成果ではないかと思える。生物的に魅力があるはずの若者が、魅力に乏しいはずの老いた容姿を目指す訳で、現代にここまでの例はちょっと思いつかない。
【ミニコラム】江戸時代に「ハゲ」が全国的に人気になったかというのは、この頃には完全に定着した「侘び」の精神によるものが大きいのではないだろうかと思う。侘びを一言で言うと「不完全なものを愛でる」こと。人々は剃り上げて寂しくなった頭髪から、無意識に侘びの趣を感じていたのだろうか。
ちなみに、昔の中国の偉い人も、以下のような辮髪というイカした髪形の普及に成功させている。昔のハゲの人、すごい!(ハゲが普及させたというのは筆者の想像)
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12699787による
このような、「欠点に思われてしまうものを逆にカッコいいと思わせる」、つまり個性としてとらえるという発想は、これからの多様性を活用する社会において重要なポイントになると思われる。
例えば、昔はメガネは弱視のトレードマークでダサかった時代があったけれど、今ではもはや目が良い人が、わざわざ伊達メガネをかける。つまり目が悪いのはもはや個性だ。今後は「義足をしてる人はカッコいい」みたいな風潮もできるかもしれない。
これからも、既存のマイナスイメージを払拭していけるような、次世代の「すごいハゲ!」が現れるであろうことに僕はワクワクしているし、自分もそうなりたいなと思う。
カエル
(後記:ちょんまげの起源を調べたところ、武士が兜をかぶるときに蒸れないようにというのが元々だったらしい。その後庶民にも広まったとのこと。まぁどちらにしても変な髪形をカッコいいと思わせて、みんなが真似したということですね)
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