未来に本棚はあるんだろうか
こどものころ、どんな本棚が周りにありましたか。
小学校の図書室にならぶ本棚、一番下の段に絵本がぎっちりと詰まった三段ボックス…
図書館のようにきちんと分類されたものから、雑誌・レシピ・小説…と雑多に並ぶ本棚まで、イメージするものは人によって違うと思います。
私の場合、こどもの時の身近な本棚といえば、寝室にあった本棚が思いうかびます。
本棚といっても、実際は食器棚でした。
ガラスの引き戸の向こう側には「鋼の錬金術師」「NANA」が並び、本来ならスプーンやフォークが収まる引き出しには文房具がつまっている。
そんな食器棚です。
もちろん、小さいころにはそれが食器棚とは知りませんでした。
どうしてあの本棚を思い出したかというと、先日「本を読むようになったきっかけはあるの?」と聞かれたのです。
その時は「親が本好きだったから」と答えたのですが、あとになって何がきっかけだったんだろうと考えてみたのです。
多分、あの食器棚に並ぶハガレンに手をのばし、夏休みや冬休みに何度も一気読みしたことも理由のひとつだったと思うのです。
本が好きな人の中には、小さいころ、手の届く範囲に本があった人も多いのではないでしょうか。
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さて、最近は本の電子化も進んでいます。
少し前まで「本は紙派」だったわたしも、最近は紙と電子を半々くらいで活用しています。
むしろ新しく読む本に限って言えば、電子の方が手を出しやすい状況です。
電子書籍はなんだかんだ言っても便利。置く場所に困らないのが助かるなあと正直に思います。
この先、紙の本がなくなることはないにしても、「本は電子派、本棚は家にないよ」ってことも多くなるのではないでしょうか
そうなったとき、未来の本棚はどうなるのでしょう。
もっと言えば、小さい子が、少し背伸びをすれば本に手が届く、そんな環境は減っていくのでしょうか。
ちょっとさみしいなあと思う。
できれば、本棚も電子化してくれないかな。
壁に本の背表紙が投影されて、触れると本が開いて読める状態になる、そんなバーチャル本棚があったらいいのに。
そうしたら、紙の本がなくたって 本棚は居続けられるかもしれない。
電子化したものをわざわざ映すなんて変かもしれませんが、「そこにある」って大事な気がするんですよね。
手を伸ばした先に本がある。
どんな形であれ、そんな環境が残り続けてほしいと思います。