人生の幸福感はU字カーブ?
少し古いのですが、平成20年版の「国民生活白書」に、年齢による幸福度の推移を可視化したグラフがあります。
米国と日本を比較したグラフになっていて、こんな感じです。
これを眺めると、米国の場合は、若者から熟年層に向かうにつれ幸福度が下がるものの、高齢になるに従い、再び幸福度が高くなるU字型。
一方、日本の場合は、若者の幸福度が最も高く、熟年層に向け低くなり、そのまま横ばい。
U字型は、米国だけではなく諸外国でも多く見られるようです。
米ダートマス大学のデービッド・ブランチフラワー教授らの研究によると、世界132カ国における幸福感と年齢の関係を調べた結果、人生の幸福感は先進国で47歳、発展途上国で48歳あたりを底にしてU字カーブを描いているとのことです。(全米経済研究所(NBER)2017年8月)
熟年層の幸福感が小さい理由については、この年齢層の仕事の負担の重さ、健康面での不安 などが背景にあるとみられているようです。
確かに、「中年の危機」とも言われるように、日本の場合も住宅ローンの返済や教育費の負担などが重なるところに、仕事の責任も大きくなり、さらに役職定年、転職・失業といった収入面での転機も起こりやすい時期。
熟年層が最も強く憂鬱を感じる傾向があるというのは、実感としてよくわかります。
疑問に思うのは、日本の場合は諸外国と異なり、高齢期に入っても幸福度が回復しにくいというところ。
住宅ローンの返済や教育費の負担も軽くなり、仕事の責任からも解放されれば、幸福感が回復しても良さそうなものですが、老後の生活資金や介護・健康など、この先への不安が大きく影響しているのでしょうか。
ただ、このような統計もあります。
令和 2年度「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」。
このグラフからは、欧米3か国の 60歳以上の 8割超が現在の生活に満足している(「満足している」・「まあ満足している」の計)と回答しているのが分かりますが、日本も同様です。
「幸福感」と「生活満足感」とでは、調査の仕方や感じ方が異なることもあって、単純には比較はできませんが、あまり悲観することもなさそうな気もします。
ポジティブ心理学の立場から、高齢になると幸福度が上がりやすい、とする研究もありました。
幸福感は主観的なもの。
「幸福を感じる力」を磨いていくことの大切さを感じます。
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