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位相空間とは何か

抽象数学の入り口

大学数学において最も抽象的で厄介なものの一つが位相空間であろう。数学科においてきちんと数学に取り組んできた人ですら「位相空間とは何か?」と問われて答えれる人はむしろ少数派なのではないかと思う。
先に答えを言ってしまうと位相空間とは収束の概念が入った空間の事である。すぐ分かるように、距離の概念が入っていれば$${a_n \rightarrow \alpha}$$は、インデックスが大きくなるに応じて距離が無限に小さくなると定義することにより定義できる。即ち収束の概念を自然に入れることが出来る。
しかし逆に、空間に距離の概念を入れることが、収束の概念を入れる為の必要条件にはなっていない。この必要十分条件が位相$${\tau}$$を入れるという事になる。

位相空間とは仲良しグループ

収束の概念が入るためには近さという概念が入ればよい。距離という概念が入ればその計量、それ即ち近さであるが、例えば友達関係を持つということはそこにある種の心的な近さが存在すると言えるものの、それは計量的な距離でもって表すことが不可能である。
即ち位相空間Xの任意の元xに対して、近傍系$${\mathcal{V}(x)}$$という概念を入れることが収束に関して最小な概念である。例えるならこれは各人xに対して仲良しグループVの系$${\mathcal{V}(x)}$$を入れることと思え、xとyが共通する多くの仲良しグループに入ってればそれは「近い」のだと見ることが出来る。
これをヒントに近傍系を入れた時に収束$${x_n \rightarrow x}$$を次のように定義する。
「任意のV$${\in \mathcal{V}(x)}$$に対して、あるNが存在し$${n \geq N}$$なる任意のnに対して$${x_n \in V}$$が成立する。」
ここで、距離という計量から近傍系は簡単に作ることが出来るが、仲良しグループ$${\mathcal{V}}$$は距離に言及していない事に注意したい。

位相を入れるという事

位相を入れるという事を、位相$${\tau}$$を入れるとしばしば書く。ここで「近傍系$${\mathcal{V}}$$を入れる」と直接的に書かない理由は、近傍系$${\mathcal{V}}$$を入れた瞬間に同等なる様々な概念が入るからである。
つまり、開集合族、閉集合族、近傍系、基本近傍系、開核作用素、閉核作用素という様々な概念は、このうちの一つの概念を入れた瞬間、全て入る。つまり、これらの概念全てを入れるにはこの内一つだけ入れれば良い。

適切な抽象度で考える

私は趣味で数学をやる身として距離空間以外の位相空間に出会ったことがない。解析学では空間と言えば関数空間であり、関数間の近さというのは少なくとも距離をもって規定するからだ。もっと言うと殆どの場合は距離を入れるよりももっと良いものを入れて位相を考える。解析学においては距離空間ですら抽象的であり、更に極めて抽象的な位相空間を考えても意味がない。一般論として、抽象的にすると論を深く進めることが出来ず、具体的にすると汎用性が無い関係にある。即ち我々は適切な抽象度で論を進める事が重要なのである。

代数学

代数学とは大きさの無い点の空間がベースであり、それ即ち元が何を意味しているのかは何でも良いという抽象的な世界である。

私が思うに、抽象的な位相空間が出てくるとすればその世界である。それも現実の近似としてある数学世界ではなく、思考の補助、その産物である数学世界にて抽象的位相空間が出てくるのではと勝手に推察している。
そもそも代数学はやったことが無いので、ここはかなり適当ですので皆さん教えてください・・・。

まとめ

位相空間のモチベーションと定義について説明した。数学の一つ建前的な正しい姿勢は、目的があって定義し、その性質を追うという事だと思ってる。もちろん偉い人が定義したものをそのままそっくり飲み込んで、訳も分からず定理とその証明を考え続ける、というのもひとつのやり方と思うが、この考えは人生という有限性に対して本質なのだと思っており、科学を追う姿勢に対しては本質を取っていないと思う。・・・ここら辺については皆さんはどう思いますか?
私はなるべくこれからも前者の姿勢をもって誰も書かない記事を書き続けたいと思う。よろしくお願いします。(※あと、記事はあまり何も見ずに書いてるので間違いはご指摘ください・・・。)

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