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カガクの扉を開く読本その1 科学入門編

はじめに


 日本では、理系と文系に色分けすることが好きで、数学ができなければ理系には進めないという、変な神話のようなものができています。とんでもない!!
 カガクはあなたの身の回りのすべてなのです。理科や数学が苦手だという人も、カガクの世界を親しめるような、そんな本を紹介したいです。また、こんなテーマにはこんな本があるよというものを、テーマ別に紹介していきます。

カガクの世界に踏み込む10冊


1.『空気の発見』
 三宅泰男:著 KADOKAWA 角川文庫
(ノーベル賞を受賞した、吉野彰・名城大学教授は、ファラデーの『ロウソクの科学』で科学の世界に入ったとのことです。私は、この本のおかげで、科学の世界に踏込んでしまいました。わずか140ページほどの本なのですが、この中に空気の成分の発見物語や、化学法則の発見物語など内容盛りだくさんです。我々が常識としているものは、非常にたくさんの研究者の研究によってつくられてきたことが分かります。)

2.『世界のたね ~真理を探究する科学の物語~』
 アイリック・ニュート:著 猪苗代英德:訳 KADOKAWA
 角川文庫 (上下全二冊)
(この本は、以前は日本放送出版協会から出版された本で、2016年に再構成して、角川文庫から出版されたました。ギリシャ時代から現代までの自然科学の発見物語です。自然科学全般の流れを知るのには、読みやすく良い本です。)

3.『ファーブル昆虫記』(全六冊)
 アンリ・ファーブル:著 奥本大三郎:訳 集英社 集英社文庫
(ファーブル昆虫記は、児童書などで読んだことがある人もいると思います。この本も児童書として出版されたものを文庫にしたものです。研究のためには、大砲を撃ったり、昆虫の巣を破壊し続けたり、ナフタレンの匂いを部屋に充満させたり、色々なことをやっています。)

4.『安全性の考え方』
 武谷三男:編 岩波書店 岩波新書青版B110
(この本は、日本の環境問題の初期の時代(公害問題と言われていた時代)、一般の人々や研究者が、どう国や政府に立ち向かっていったのか、その記録です。国や役所の嘘を見抜くヒントが書かれています。)

5.『沈黙の春』
 レイチェル・カーソン:著 新潮社 新潮文庫
(環境問題の先駆的な本と言われて、新潮文庫の100冊とかいって毎年推薦本の中に入っていますが、みなさん本当に最後まで読んでいますか? 私は全部読み切るのに、途中で2回挫折しました。翻訳がなんとなく読みにくいのです! どなたか、翻訳し直してもらえませんかね。光文社さんとか、古典新訳文庫で翻訳し直しませんか?)
※以前、こんなことを書いて投稿したところ、何と、本当に光文社の古典新訳文庫から、翻訳し直した本が出版されました。内容も、しっかりと一般向けの科学読み物的に翻訳してあって、わかりやすいし読みやすいです。光文社さん本当にありがとう! みなさんも買って読んでみてください。
◎『沈黙の春』
 レイチェル・カーソン:著 渡辺正隆:訳 光文社 光文社古典新訳文庫
(本当に、カーソンがこの本に書いた、環境問題とか農薬の被害とか、全然古くなっていないですね。カーソンの警告にもかかわらず、人類は相も変わらず、同じように自然環境を破壊して、ますます人類が住みにくい地球に変えていってしまっています。地球温暖化問題も、目標値の設定ばかりに時間を割いていて、何も解決にはなっていません。会議よりも行動です。木を植えたり、ゴミを拾いまくったり、壊れた環境をどう修復していくか、どんどん行動をすることが、解決への近道だと思います。)

6.『二重らせん』
 ワトソン:著 講談社 講談社ブルーバックス
(遺伝子の成分であるDNAが、二重らせん構造をしていることを発見した本人が、その研究過程を書いている本です。こんな感じで、ノーベル賞ってとれてしまうの? そう思ってしまう面白い本です。)

7.『生物と無生物のあいだ』
 福岡伸一:著 講談社 講談社現代新書1891
(生物学の研究手法について書いている本です。福岡先生は、『動的平衡』という概念を基に研究を行っているそうです。生物学の研究は基本的に体力勝負、アイデア勝負と言うことです。福岡先生は、この本の他にも色々な著作や翻訳物を出していますので、この本を足がかりに、色々読んでみるのも面白いです。)

8.『ソロモンの指輪』
 ローレンツ:著 早川書房 ハヤカワ文庫NF
(動物行動学の研究について書かれている本ですが、この人もその研究のために、飛行機を飛ばしたり、水の中に入ったり、まあ色々なことをやっています。)

9.『iPS細胞とは何か ~万能細胞研究の現在~』
 朝日新聞大阪本社科学医療グループ:著
 講談社 講談社ブルーバックス
(iPS細胞について、わかりやすく解説しています。しかし、そこから見えてくるのは、アメリカ政府の対応の早さ、体制作りのうまさです。それに対して、日本政府は、一時政府援助を打ち切ろうとしたり、研究費を出し渋ったり、科学研究に対して理解が全くないことが分かります。)

10.『北里大学病院24時』
 足立倫之:著 新潮社 新潮文庫
(病院という所は、医者と看護師と患者だけでは無く、色々な人がかかわっていて、一つのシステムとして動いていることが分かります。少し古い本ではありますが、医療関係の仕事に関わりたいと思っている人は、一度読んで欲しいなと思う本です。)

※扉の写真
 以前、鎌倉の七里ヶ浜の海岸で拾ったタカラガイ。近年、砂浜が無くなってしまったらしい。
 

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