追憶リライトスタイル日記(2021.1.1-1.7)
一人暮らしの準備を進めるべく、部屋の整理をしていたら棚の奥から新潮文庫のマイブック(2021年版)が発見されました。
当時は「今年から一念発起して日記でも書いたるか」という心境で日常の記録を始めたのですが、あまりにも惨憺たる内容すぎて書いているうちにだんだん気が滅入り、2月上旬ぐらいで完全に力尽き果ててしまったのを思い出しました。
長らくマイシークレットボックス(親などに見つかったら困るモノなどをこれでもかと詰め込んだ鍵付き木箱)の中に封印され、もはや"呪物"と化してしまったこの日記帳。
呪術師目線で見てみると周囲に澱んだ邪気のようなものが漂っているのがわかります。
本当は厄除けの意味でもこのまま処分してしまいたいのですが、それもなんだか勿体ない。ということで、今回は当時の日記を改めて書き写し、その内容をセルフ講評してみようと思います。
果たして、約4年前の隠遁者は何を思い、何を感じていたのでしょうか。
(そんなこと全くする必要もないのにも関わらず)絶対に開けてはいけないパンドラの箱が今、強引に開錠されます。
(プライバシーの関係により、具体的な地名等は適宜伏せ字にさせていただいております。)
2021年
1月1日(金)
ラジオを聴きながら眠ってしまったせいで寝不足だった。
9時半頃に起き、年賀状を確認した後11時頃墓参りに出かけた。一度家に帰って雑煮を食べ、今度は●●(※都内某所)の方へ車で墓参りに出かけた。寝不足のせいか車に乗ると微妙に気持ち悪くなった。
帰り道にスタバに寄り、ほうじ茶クリームラテを飲んだ。これがまた妙に甘ったるくて気持ち悪さに拍車をかけてしまった。
帰ってすぐ布団に潜り込み本を読んだ。ネットフリックスで映画も観た(読んでいたのはジェイン・オースティンの『マンスフィールド・パーク』、沢木耕太郎の『深夜特急』、観た映画はネットフリックスオリジナルの『ハーフ・オブ・イット』)。
今年は部屋の本棚に眠っている未読の本や漫画を読み切り、自身の知見を深め、幅広いジャンルについての教養を身につけるようにしたい。
一日一回は英語の勉強をする、そして何かしらの新しい知識をインプットするようにしたい。そしてそれらの知識をこのような場でアウトプットすることもまた必要であろう。
懲りずにラジオを聴きながら寝るとする。
【講評】
まず寝不足で気持ち悪くなってる状態でほうじ茶クリームラテとか注文すなよ。案の定飲んだ後に気持ち悪くなっていて、いきなり過去の自分の阿呆さに萎えてしまった。
2020年～2021年の年越しはたしか村上春樹のラジオ特番みたいなのが放送されていて、それを聴いてたから寝不足だったんですよね。しかもAirPods耳につけたまま寝てるから絶望的に眠りが浅いっていう。
今は眠気が襲ってきたな、と思ったらちゃんとAirPodsを耳から外して寝られるようになった。
いや、4年前の自分と比較して寝る時にAirPodsを耳から外せるようになったことにしか成長ポイントを見出せないってあまりにも情けなさすぎる。「教養を身につけるようにしたい」とか思っていた人間の末路がこれなのか……と激しく落胆してしまった。
1月2日(土)
今日は主に家でネットフリックスを観るか本を読むかのどちらかで時間がつぶれてしまった。
『ハーフ・オブ・イット』を観終えて深い余韻が残ったけれども『コブラ会』の続きが気になって立て続けに観始めたら止まらなくなってしまった。少しは外に出て運動しなければならない。
英語の勉強やFPの勉強、科学雑誌を読む等の知的営為に及びたかったが、時間的な余裕がなく明日やろうという感じになってしまった。
仕事が再開するまで休みがあと1日しかないと思うと辛い。何故●●を扱う仕事に就いてしまったのかと度々自問する。就職活動の際に極力避けていた●●業界に図らずして身を投じることになってしまうとはあの時思いもよらなかった。
このままでいいのだろうか。憂慮は消えない。
【講評】
ち、ち、「知的営為」ィ～～～！？。あまりにも高尚ぶりすぎている。普通に「勉強」と称すればいいのに、何故わざわざカッコつけた言い回しをしてしまうのか。この頃からもうしょうもない虚栄心が燻りすぎている。
そりゃ家でだらだらネットフリックス観たり本読んだりしてるだけなんだから将来に対する憂慮が消えなくて当然だろ、という気もする。
「時間的な余裕がなく」、と言い訳めいたことを書いているが、ネットフリックス観てる時間とかを別の生産的な行為に回せばいいだけなのではないか。
最初から自分の意志を確固と持って就職活動に臨めよ、とも思うし、もう改変できない過去に対して執着しすぎである。
でもまあ、だからこそ過去を改変したいという欲望を遠因的に満たしたくて、わざわざ4年前の日記を掘り起こしてインターネット上に自ら公開してしまうのかもしれない。
自分で始めておいて何だが、冷静に考えたら今やっていることが承認欲求のバケモンがやるような行為すぎて怖くなってきた。これはいかん、早く闇に葬って供養してやらんと。
1月3日(日)
明日から仕事が始まると思うと非常に気分が沈んでくる。もう既に身体が拒否反応を示しているせいか全く食欲がなかった。
今日は、今日こそは●●関係の勉強をしようと思っていたのに結局またネットフリックスで『コブラ会』を観てしまった。なかなか面白かったのでシーズン4が待ち遠しい、とまあそんなことはどうでもいいのだが、そろそろ本格的に現実逃避をやめなければならない。
自分はどうすればいいのか、今後何をすべきなのか、全てに靄がかかった状況で迷いなき一歩を踏み出すことが出来ない。本当に自分がやりたいことをやれずに、やりたくもなかったことを延々とし続ければならない現実だけが心に重くのしかかってくる。
経験則からして、本当に自分がやりたいこと、あるいは自分が楽しみを見出せる何かに取り組んだ時の方がはるかに効率的に進み、成果を発揮出来るものだ。やりたくないことをやるのが仕事だと言われれば、それまでなのだけれども。
【講評】
なんか太宰治を読んで一番良くない影響の受け方した人間が書いた文章読んでる気持ちになってきたわ(※太宰治の小説そのものを否定している訳ではありません)。
どんだけ内向的で軟弱な精神性を発揮すれば気が済むんじゃコイツは。
「自分はどうすればいいのか、今後何をすべきなのか、全てに靄がかかった状況」と書いているが、この人間がすべきことは誰の目に見ても明らかである。
まずネットフリックスを解約し、毎朝6時に起床して乾布摩擦をして、近所の空手道場に通い始め、人との会話をする際には返事をすべて「押忍」で統一し、自宅にいる時は常に全裸でブリッジをしているように心がけることで己の脆弱なメンタリティを鍛え直すしかない。
おい、4年前の俺！！全裸ブリッジとは無縁な人生なんて喝だ喝！！自分のやりたいことに素直に向き合え！！感情の赴くままに身体を仰け反らせなさい！！
はっ、いかんいかん。4年前に「自分が本当にやりたかったこと」＝「自宅で全裸ブリッジをすること」みたいな文脈になってしまった。
まあ冗談だとしても本気だとしてもそんなの勝手にやれよ、という話ではありますが。
1月4日(月)
日付が変わってしまってこれを書いているのは1月5日なのだが、まだ5日になって1時間も経っていないので4日という扱いにさせてもらう。
今日は久しぶりに仕事をして疲れた。やはりこの仕事は接客業という性質を帯びているだけに精神的にくるものがある。年末年始のお休みモードというだけあって世間はまだ休みの人間が多く、変な注文をつけてくる客も少なからずやって来た。この仕事をやっていると人間の嫌なところばかり目につくようになってしまう。
まあこの仕事に限らないことかもしれないが。
帰宅してからは少し落ち着いた。明日、明後日と冬期休暇を取ったのである程度精神的には余裕がある。
最近、電子書籍で漫画を買ってもいいかどうかという悩みで逡巡している。貯金も400万ほど溜まった(貯まった)ので、使わないのは勿体ない。しかし電子書籍で読むなら専用のタブレット等が欲しいものだ。
【講評】
当時は誰に見せるわけでもなくただ日常の記録として日記を書いていただけなのに、言い訳がましく「4日という扱いにさせてもらう」と表記してあった。一体誰に対しての弁明なのか。この頃から自己弁護癖がついてるの嫌すぎる。
「ある程度精神的には余裕がある」とかも書いてあるが、だったら労働に対しての鬱積や愚痴を書き散らすなよと思う。4年後に読み返した自分が思わず笑ってしまうようなギャグでも書いておいてくれ。
「変な注文をつけてくる客」がどんな変な注文をつけてきたのかとか、具体的に書いてないからもう忘れてしまったし。
嘘でも良いから「ＳＭ倶楽部のＳ嬢みたいな風貌の客から『全裸でブリッジして、寿限無を暗唱しながら私の周りを3周回りなさい！』と言われた。素直に実行したが、やぶらこうじのぶらこうじ辺りで『ぶらぶら五月蠅いわねぇ……ぶらぶらしてんのはアンタのその粗末なモノだけで十分だってのよ！』と罵倒され、パイポパイポパイポあたりで口をこじ開けられてギャグボールを突っ込まれ暗唱が困難になり、『コラッ、誰がパイポパイポパイポを濁音化していいって言ったぁ〜？ちゃんと半濁音のまま言いなさぁ〜い？』『ウッ、ヴァッ、ヴァイボヴァイボ、ヴォエッ』というやり取りが行われ、結局3周し切る前にムチで全裸ブリッジ中の腹部を3往復ビンタされるというお仕置きを受けた。今までにない体験だった。羞恥心は臨界点を突破すると快感へと変貌するのだということを学んだ」とか書いといて欲しい。
そういう馬鹿に振り切ったこと書いておいてくれれば、約4年後に読み返した時に「何を書いてんねんコイツは」と笑い飛ばせるし、もし笑えなかった場合は真剣に「もしかしたら俺は病院に行った方が良いんじゃないか？」と検討出来るから。
あと、電子書籍で漫画を買うか否かという、どうでもいいことで悩むのもやめて欲しいですね。今じゃもう電子で漫画を購入することに何の躊躇もない。iPad miniも持っているし。でもわざわざ日記に書くほどだから当時は相当そのことに頭を支配されていたのだろう。未来のお前が最終的に金で解決するから安心しろと言いたい。
ちなみに最後の「溜まった(貯まった)」の部分は、書いている途中で「たまった」の漢字は「溜まった」じゃなくて「貯まった」だったと気付いたが、消しゴムで消すのは面倒臭いから消さずにそのまま正しい漢字で書き直そうと思った故の表記である。一体誰に対しての配慮なのかはわからないが、無駄に律儀というか、漢字の誤用は避けたいという自分なりの規律みたいなものがあったのだろう。相変わらず取るに足らない些末なことに拘ってしまう性分は今と変わらない。
1月5日(火)
今日は久しぶりにジムへ行き、筋トレをした。帰って来てからはずっと漫画を読んでいた。
今日と明日は冬期休暇なので羽根を伸ばせるが、もう既に明後日のことを考えると沈痛な面持ちになってくる。
資格の勉強、読書、やりたいことが色々あるのに時間が追いつかない。
部屋の掃除もしなければならない。やらなくてはいけないことがどんどん蓄積していく。
(余白に英単語の羅列)
ページが余ったので日課の英語学習に余白を使わせてもらうとする。
明日は寒中見舞いを書いて出す。
【講評】
「帰って来てからはずっと漫画を読んでいた」と記した直後に「やりたいことが色々あるのに時間が追いつかない」って書いてあるの、そりゃそうだろすぎる。正月入ってからずっと、思想と行動の矛盾のオンパレードだ。
「羽根を伸ばせる」って表現も正しく書くなら「羽根」ではなく「羽」だし。恐らく、当時は鳥のように自由に大空に飛翔するような存在になりたいという願望が強すぎてリアルな鳥寄りの「羽根」と表記してしまったのだろう。
途中で文章を書くのをやめて余白に英単語を書き殴るあたり、そろそろ飽きかけてきてしまっていることが窺える。そしてまた、「英語学習に余白を使わせてもらうとする」という誰に向けたわけでもない断りの文句。こんなことしてないでその日中に寒中見舞いを書いて投函しろ。
1月6日(水)
朝早く起きようと思っていたのにまた9時過ぎに起きてしまった。冬は寒くて布団から出るのが億劫になる。
有意義な休日にしようという思いはあれど結局スマホで漫画を読んだり動画を見たりするだけで一日が終わってしまう。
午後なんかは眠気に誘われるままに3時間ぐらい寝てしまった。勿体ない気もするが、眠い頭で何かをやったところでそれも手につかないので仕方ない。
明日から緊急事態宣言が発令するということで、また仕事が忙しくなるかもしれないと思うと嫌になる。
科学雑誌に書いてあったが、新型コロナウイルスの「コロナ」というのは王冠という意味で、ウイルスの球体の外側にある赤い部分(スパイクという)が王冠に似ていることからこの名前がつけられたらしい。
【講評】
流石にずっと同じ趣旨のこと書きすぎだろ。時間がない、時間がないと喚いた後に「スマホで漫画を読んだり動画を見たり」「3時間ぐらい寝てしまった」り。別の日の日記の文章を一部だけコピー＆ペーストしても成立するぐらいの変わり映えのしない怠惰さが書き連ねられてるだけやないか。書き写してるこっち側がだんだん食傷気味になってきた。
「眠い頭で何かをやったところでそれも手につかないので仕方ない」という自己正当化も甚だしいしな。
当初誰に見せるわけでもなかった日記の中で豆知識を披露してるのもよくわからない。
誰かに蘊蓄を垂れ流したくて、記憶を強固なものにするために書いておこうと思ったのかもしれない。
1月1日の日記で知識のアウトプットが必要、みたいなことも書いてるから、恐らくそれも影響してるのだろう。たしか当時は『ビッグバン・セオリー』を滅茶苦茶観てたから、それに触発されてNewtonとかの科学雑誌を読んでいたんですよね。未だに読みかけの号が多々あるけど。
1月7日(木)
仕事帰り、あまりにも空腹だったのでファミリーマートでココアと鮭バターしょう油おにぎりを買って食べてしまった。晩飯が鍋だったので、言うまでもなく後悔した。
2日前ほどから歯の裏側が痛い。火傷したのか知らないが、歯を磨くと少し出血した。もしかしたら歯周病が進行してしまっているのかもしれない。歯の健康にもっと気を遣わねばならない。
今日は仕事があまり忙しくなかったので良かった。あと1日働けば3連休がやって来る。
(余白に英単語の羅列)
【講評】
この子、なんで歯が痛い状況でココアとか鮭バターしょう油おにぎりとか買ってしまうん？書き起こしてるだけで当時ココアを飲んで歯に染みた時の感覚が舞い戻ってきたわ。
そして「仕事があまり忙しくなかった」とか書いていてメンタルに余裕がありそうな時ほど逆に文章量が少ないのは何故なのか。やっぱりこの日記を始めた動機がストレスの捌け口として利用するためだったから、精神的な安寧を得ている状態だと「書きたい」という欲が半減するのかもしれない。
そんでまた余白を英単語の暗記のために使い出してるやん。
この先の更新が危ぶまれるが、えらいモンで当時の自分は毎日書き続けなければというマイルールを極力遵守しようとしていたから、一応この先も日記は続きます。
とりあえず1週間区切り、ということで今回はここまで。
先に言ってしまうと、この日記帳は2021年の2月8日まで毎日書き続けるというルールに則ることが出来ていたので、続きはまた適当なタイミングでアップしようと思います。
今回こちらの試みをやってみてわかったのは、一人暮らしの準備を進めるために色々やらなくてはいけない状況なのにも関わらずこのnoteを書くのに3時間以上も費やしてしまい、自分の行動生態が約4年前から何も変わっていないということ。誰か助けてください。
つづく(？)