田口ランディ『ハーモニーの幸せ』を読んで 『記憶、過去、そして歴史』
精神障害者が社会復帰する前に、生活習慣に慣れてもらうための作業所を運営しているグループの、トークライブに著者が呼ばれたときの話と、前に住んでいたアパートに行くとそのときに隣の部屋に住んでいた人と偶然会うという話。
作業所に入る精神障害者には記憶がないという。引きこもりのため、遠足や運動会など友達と遊んだ思い出がないのだ。
人間は過去を積み上げて今を生きている。その過去の記憶(として残しておきたいもの)がない人間は、人生を虚しいものとしてしか捉えることはできないだろう。「生