人生初4DXに乗ったら、アトラクション過ぎて、2時間おもしろ過ぎて、最高過ぎた話
正直なめていた。
ちょっとした振動が時々あるくらいで、ちょびっと水が出るくらいで、ふんわり風があるくらいで、と思っていた。
なめていたので、こんなもん料金を上乗せしてまでして映画を観て面白いのかね…と昨日までは考えていた。
映画館用の特殊なシートで鑑賞できる環境効果技術が日本で初導入されたのが2013年。全国各地の映画館で次々に設置されて10年以上も月日が流れてはいたが、いまひとつ心を動かされなかった。
というのも、導入当初に体験した友人の話では、テーブルの鉛筆が転げただけで、シートの背中部分がグーっと押されたり、いらない場面で椅子が少しだけ揺れたりして、しょうもなすぎて情けなくなり、おまけに不具合で水も出なかったらしく、金返せ!状態だったと聞いていたので、二の足を踏んでいたのだ。
IMAXには信頼があった
クリストファー・ノーラン監督作品のおかげで大画面のIMAXで観る習慣はついていた。眼前の巨大なスクリーンは、視野の限界まで広がりプラネタリウムをも超えた宇宙空間を演出し、旅客機を実寸大と思わせる迫力で飛ばし、容赦なく異空間の中に放り込んだ。
映像も鮮明で音響面でも優れており、左右上空と自在に音が移動して臨場感に包まれた。
特に音響にこだわりがあるという作品の場合はIMAXが最適で、ジョーダン・ピール監督の「NOPE」はピッタリの作品だった。
なんぼのもんじゃい
映画「NOPE」がきっかけで ブランドン・ぺレア のファンになってから、彼のSNSをチェックするようになっていた。
次回作は「Twisters」という竜巻の映画に出演するよと情報が流れる。
本人SNSから数か月遅れで日本でも情報が解禁となり、8月から上映されることが決定。
1996年公開映画「ツイスター」のリメイクだとか続編だという情報も出始め、パート2は面白くないのが通説になっているから、鑑賞には消極的だった。
とはいえすでに上映している海外SNSでは割と高評価だった。
IMAXと4DX のどっちが最適?
8月はお盆もあって帰省もするし、混み合う映画館で観るのは運次第。
不運であれば劣悪な環境での鑑賞となるし、通常料金に上乗せしてまで観るにはリスクが高い。
そのうちサブスクでやるから今観なくてもいいなと思い始めていた。
とはいえ自然の驚異を取り扱った竜巻映画「Twisters」だから、ちいさなスマホやPC画面で生活音に紛れながら観るよりは、映画館の大画面と大音量で観てこその作品でもある。
となると、どの方法で観るのがいいだろう。
上映形態が今なら3つ用意されている。
普通サイズのスクリーン、IMAX、4Dのどれで観るのが一番楽しいだろう。
迷いに迷える子羊になる
やはり信頼と実績のある IMAXだろうか。
この作品の4Dは、吹替上映のみ。
これではブランドン・ぺレアの声が聞けない。
大自然の猛威を感じたい思いが大きくなっているこの段階で、普通サイズスクリーンの選択肢は消えている。
IMAX の劇場はひとつしかなく、ではどこの劇場で4Dが観られるのかと調べる途中で、4Dシートにはアメリカ製の”MX4D” と 韓国製の” 4DX” 2種類あることを知った。水や風、振動などの効果は同じ。
同じならどちらでもいいが、さらに調べていくと韓国製” 4DX”の方が揺れるという口コミが多かった。
心は決まった!
ブランドンの肉声はあきらめ、4DXで鑑賞する。
4列シートで可動するという仕組みも判り、左右の揺れが一番大きくなる端席を選んでチケットを購入した。
いよいよ鑑賞当日!
酷暑が続く8月の晴天。
電車を乗り継いで映画館に到着した時には、肌が少し汗ばんでいた。
ロビーは省エネな温度設定になっているらしく、涼を与えてくれなかった。
入場許可がでて、4DX用のスクリーンへ。
貴重品以外の荷物は、上映スクリーン入口付近にある小さなロッカーに入れるのだと知る。
たしかに動くシートでは邪魔かもしれない。
そしていつも持ち歩いている大きなリュックで来場しなくてよかった。
あの小ささでは入らないから。
準備万端の身軽な体で、予約したシートに座ってみる。
通常とは違い少し高い位置にシートがあり、足置きがついている。
体全部を揺らすために床に足がつかない設計になっていた。
右側のひじ掛けには、水噴射のONとOFFを切り替えるボタンが付いているが、もちろんOFFなんかにはしない。
こっちは噴射を楽しみにきているのだから。
4DXの心構えで、心折れそう
IMAX上映と同様に、4DXでも映画本編上映前に説明動画が流れた。
こういう感じですよというデモンストレーションだ。
風がこんな風に吹いて、シートがこんな感じで振動しますと映像で説明すると共に、実際に風や振動が起こる。
まあ、こんなものかと思ったその瞬間、急に背中を突かれる衝撃。
えっ、怖っ!
画面で説明してからシートが作動する順番で流れていた説明だったのに、不意打ちをくらって、面食らった。
マジで怖いんですけど。
急にドキドキしてきて、一気に不安になった。
4DXの説明だけで、こんなに恐ろしいのかと。
しょうもないと聞いていたのに、話が違う。
Twisters がスタート!
映画が始まってすぐに竜巻発生!
手に汗握る展開と同期して、シートが揺れまくり風が吹きまくる。
ひゃー、すごい!
スクリーンの中の出来事が、私にも起こっている。
その後も竜巻が起こるたびに、4DX効果の大盤振る舞い。
突風が吹き、水が噴き出し、揺れに揺れまくる。
稲光が走り、雨まで降りだして露出した肌に雨粒が当たる。
何度も竜巻が発生するたびに、吹きすさぶ強風に前髪が煽られ、登場人物たちと同じように髪が乱れまくった。
お出かけで整えてきたスタイリングもなにも、あったもんじゃない。
登場人物たちが砂地や荒れ地を自動車移動すれば、一緒に乗車しているような振動が起こり、飛来する危険物があればそれも風で表現し、何かが当たれば打撃も受ける。
臨場感と没入が半端なくて怖い、怖い。
揺れが激しく、シートからずり落ちて幾度となく座りなおした。
竜巻の驚異からくる怖さの中に芽生える高揚感は、USJ のライドに乗っているような楽しさに通づずるものがあった。
こうして私の初4DXは、終始楽しすぎるという体験になった。
今回観た作品は4DXの効果が最大限に発揮できて、最高の仕上がりになったのだと思う。
最高すぎたので、次回の鑑賞作品選択を失敗して、しょうもない体験として記憶を上書きしたくない。
初4DXだけれど、最後の4DXになるかもしれない。