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28.土御門教授語録 ≪睡眠不良は自然界からの逸脱?≫

悠斗君は、睡眠は健康の三要素の一つと言われるけれど、食事や運動と違って、懸命に努力しても眠れない人が非常に多いという話をよく聞きます。今日は、それについて土御門先生の見解を聞きたくてやって来ました。眠れる人は元々健康な人だったんではないかと。
 
先生、睡眠というのは夜になると自然に眠気がやってきて眠れるものではないんですか、それがなぜ、昼間の疲れもあるのに、夜になっても眠れない人が多いのですか。
 
先生は、
君はいつも突拍子もないことを聞きに来るんじゃなぁ、ところで、君はよく眠れる方かね?
 
ええ、普通に、夜11時ころにベッドに入れば大体すぐに眠れると思いますが、朝は六時か六時半には起きます。
 
まぁ、健康だねぇ、あまり悩みは無いようにみえるねぇ。
 
そんなことは無いですよ、僕もいろいろ悩むこともあって、一晩中、眠れない時もありますよ。
 
あぁ、これは失礼!
まぁ、みんな人生で何度かはあるじゃろなぁ。一度や二度では無いじゃろなぁ。みんな生きとるんじゃから。睡眠についての質問じゃったな、最初に言っとくが、人間はどんなに夜更かししようが、元々は自然界の野生動物の一種じゃ、基本『朝日と共に起きて、夕日と共に眠りに落ちる』じゃよ。そういう風にできている動物なんじゃ。
 
まぁ、地球上の生物は全てサーカディアンリズム(概日リズム)や年周期リズムで生きるようになっとるんじゃよ。体内時計の一日の昼と夜、また季節の夏と冬では、自律神経やそれに関係する免疫力、ホルモン、代謝、睡眠なども大雑把に言えば、入れ替わるようになっておる。一日の光の長さで季節も判別しているんじゃ、熊や蛇などの冬眠や渡り鳥の時期、動物の発情時期なんかは分かり易いじゃろ。
もし人間のそれらが狂ってしまうと、精神疾患、睡眠障害を始めとして、生活習慣病、がんなどの疾病にも関係してくると医学的にも言われておる、今の人は自然界のリズムを軽視し過ぎているところがあるんじゃな。
 
自然界の人間の身体はじゃなぁ
1)朝日を浴びて身体を動かすと、交感神経に切り替わり、セロトニンというホルモンが分泌され、体内時計がリセットされるんじゃ。そこが起床の起点じゃな。
そうすると、そこから十四~十六時間経つと体内時計がそろそろ眠る時間じゃと、今度はセロトニンが睡眠を司るメラトニンに変わって眠くなるようになるんじゃ。
まぁ、その時には自然界では月明りしかなく、ほとんど真っ暗で、音もしっかり無音。静寂の中で自律神経は副交感神経が優位となり、身体も自然に休息に入るんじゃ。
 
しかしじゃな、現代社会では光も音も、深夜になろうが自分の周囲には溢れているんじゃな、それで夜になったからといって、眠れると思うかね、眠れるはずは無かろう。
 
2)それとじゃ、日中は本当は狩りや農作業で筋肉は疲れ果てているはずじゃが、ほとんどの現代人にはそんな疲れはないんじゃ。それどころか、日中は人との諍い、軋轢や心配、不安で、心、すなわち感情が刺激されっぱなし。自律神経は、眠るためには副交感神経が優位でないといかんのに、強烈に交感神経の方が優位になっている人が多いんじゃ。
 
身体の疲労と心の疲労はまるっきり逆じゃ。身体の疲れは溜まると、身体はそれゆえ癒しに入ろうとするが、心の疲労はじゃ、交感神経をもっと、もっと強烈にトゲトゲしく、緊張状態にしてしまうんじゃ、ここが最大の違いじゃな。現代社会は非常に便利、快適、豊かになったが、人間の生活は自然界から大幅に逸脱してしまっていると思わんかね。
 
じゃあぁ、どうすれば眠れるようになるのでしょう?
 
まぁ、自然界により近づける、としか言いようがないのう。眠りは習慣じゃ、習慣は自然界の摂理に従って自分で作るもんじゃ。ちょっと整理するとじゃなぁ、
 
1) 毎朝、起きると朝日を帯びて筋肉を動かし、交感神経を刺激するんじゃ。一日のスタートポイントをしっかりと身体に覚え込ませるんじゃ。
日中は、身体を動かし、できるだけ肉体的に疲れる方が良い。心はポジティブな感情を心掛ける、じゃ。

2) 寝る前は睡眠に備えて、極力灯りを暗くして、可能な限り無音にする。ベッドに入ってからの、読書やスマホ、テレビ、ゲームなんぞは全面禁止じゃな。全て交感神経を緊張させ、眠りを妨げるだけじゃ。『眠りはイヤだ、イヤだ』と脳を直接攻撃しとるようなもんじゃのぉ。まぁ、眠たい眠たいと自己暗示をかけても良いかもなぁ。
余計な考え事、心配や不安、腹立ち、悲しみなどは、現代人の苦手な真逆の感情、『嬉しい』とか『感謝』に変えることじゃな。ユーックリとした波長の呼吸に載せて、『うれしーなぁ』、『ありがとうございまぁ-す』、『しあわせだなーぁ』。これらの言葉をゆっくり繰り返す、じゃ。たとえば『私の身体よ、今日も一日有難う、ゆっくり休んでください』とでも唱えれば、身体も喜んで副交感神経も優位になるかもなぁ。自律神経の切り替えを行う、じゃな。これは、人間だけに与えられた特殊な技じゃ。

3) 問題はこれらの習慣化じゃな。一週間や二週間で眠れるようになるわけはないんじゃ。イヤイヤやっても習慣にはならんしなぁ。まぁ、歯磨きや入浴みたいに好き嫌いは別に置いといて、毎日の日課と考えるんじゃな。
早くて三か月、普通は半年から一年はかかるじゃろうなぁ。

4) 最後にこれが一番大切なんじゃが、どんな身体の不調も『自分が治す』という前向きの気持ちが必須じゃ。自分の身体は自分が守らなきゃ、誰も守ってくれん。多くのお医者さんも言っているんじゃ。『自分が治す、という気持ちが強い人ほど治りが速い。医者任せの人は非常に遅いか、結果が出ないこともたまにある』と。本人の気持ちが結果を大きく左右するんじゃ。
 
 
先生は、更に続けます、
人の身体は、元々が野生動物なんじゃから、自然界の摂理に基づいて毎日を送れば、人間本来の姿に戻れると思わんかね。
本当は、人間は意外と単純なんじゃよ。
人はいくら科学技術の文明が高度に進化し、便利に快適に豊かになっても、同じ地球上のリズムで生きているんじゃ。自然界の本来の概日リズムや年周期に合わせた生活習慣とすれば、人は楽しく幸せに生きられるようにできている、じゃよ。まぁ、地球上の動物全てがそういうリズムで生きてるんじゃがな。
 
悠斗君は、またまた、自然界のリズムとかよく分からないまま、帰ることになってしまいました。でも、今回は何となく、先生の言うことが少しばかり分かったような気がしていました。
折角の二度と無い人生、仲良く楽しく幸せに生きましょう(H/P 書窓けやき通り)

#幸せエッセイ

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