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身の丈分かっている?欧州エネルギーの話し

昨日、全会一致とはならなかったものの、参議院本会議で「ウクライナを巡る憂慮すべき状況の改善を求める決議」が採択された。同日に、日本政府が欧州にLNGの融通を検討していることが報道された。日経新聞曰く『米欧は露がウクライナに再侵攻した場合、露への大規模な経済制裁に踏み切る構え。露が対抗措置として欧州へのガスの供給を止める恐れがある。欧州は天然ガス輸入の4割を露産に依存している。米は欧州がエネルギー不足にならないようLNGを欧州に融通できないか日本などに打診していた』とのこと。

 どこから話せばいいか迷ってしまう程、ツッコミどころ満載。

 とりあえずエネルギーの話し。

欧州委員会統計担当局(Eurostat)によると、欧州連合(EU)が2020年露から輸入しているエネルギー製品の総量は26,520万トン/年でこのうちちょうど10,000万トン/年を液体・気体天然ガスが占める(欧州は露から石炭もかなり安く買っているけど、これは何とかなりそうだから一旦老いておこう)。まずこの数字をおさえておきたい。

出典:Eurostat

そして、基本的に輸入に依存する日本の2019年LNG輸入総量7,650万トン/年(2020年も大きく変わらない)。数字だけ見ると、日本政府が『国内で必要なLNGは確保したうえで、天然ガスの権益を持つ企業などに協力を求め』て、その協力を得られたところで、欧州のエネルギー事情を大きく左右するほどのインパクトを与えると思えない。一方、日本政府が求める通りの協力が得られた場合、国内LNG価格の更なる高騰には繋がると考えられなくはない。これは大丈夫なのか? 

EUに天然ガスを供給する諸国で、露に次ぐノルウェーアルジェリアは、露が供給を止めた場合の穴を(少なくともすぐには)埋められないだろう。埋められたときには、当然ながら露の天然ガスよりは高くつくだろう。となると、何れ、欧州の消費者に高い天然ガスを売りつけるとしたら米のガスを押し付けた方がいいのでは?!← 皮肉
ただ一つだけ問題がある。それも、バイデン氏が大統領就任直後に米国内天然ガス採掘が縮小している。グリーンやら再生可能エネルギーやらを打ち出してきた同氏(を後ろで操る勢力)がこの採掘量を再び増やす場合、既に大分失われている米政権に対する信用が更に低下し、益々身動きをとれないことになるだろう。そうすると、逆に露の世界での立場が益々上がることにならないのか?粗末の臭いが漂ってくる。

今日はここまで。


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