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たくさんの「再会」を果たした2024年7月に出会った本など

大好きな作家さんがnoteを始めて狂喜乱舞している。過去作の話をインタビュー形式で届けてくれているのだが、とてもユーモアがあって面白い。読まれる方は、ぜひインタビュアーの名前にも注目してほしい。

前作の出版から13年、今年中には新刊が発売予定とのこと。やっふー!

そういえば、今月は「CLAMP展」に足を運び、かつて恋した少年に久しぶりにお会いしたり、Official髭男dismが1年5か月振りに開催したライブに参戦したりもした。なんとなく、「再会」という言葉がふさわしい月だった気がする。

そんなこんなで、本の話である。


2024年7月に読んだ本

なぜ働いていると本が読めなくなるのか

気鋭の文芸評論家が「なぜ働いていると本が読めなくなるのか」を読書史と労働史から紐解く新書。本を読む姿を見たことがない祖父の家に、古めかしい文学全集がなぜあるのか疑問だったが、この本のおかげで「昭和の文学全集ブームに乗じたのではないか」という仮説を立てることができた。とはいえ、祖父の家は既に解体されてしまったため、もう確かめる術はないけれども。

ざっくりいうと、筆者はノイズ(他者や歴史や社会の文脈)を含んで得たものを「知識」、ノイズなしで得たものを「情報」と表している。そして、読書は偶然性があるアンコントローラブルな「知識」を得る媒体、インターネットや自己啓発書は知りたかったことをノイズのない「情報」を得る媒体と分類している。

労働に全力を尽くす現代人は、ノイズのある「読書」は仕事が忙しいと楽しめない。なぜなら、自分に関係のない文脈を取り入れる余裕がなくなっているからだ。最後に、現在の労働のあり方を変える提案を行い、本書の総括としている。

読了後、ふと気になったのが、「パズドラ」はどちらに分類されるのか、ということだ。この本には映画『花束みたいな恋をした』がこれでもかと引用されている。同作では主人公のひとりが、「本(小説やマンガ)が読めない」けれど、「パズドラはできる」「自己啓発書は読める」という状況になっている。

『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の文脈によれば、「本が読めない」のは、それがノイズのある「知識」を含むもので、仕事が忙しくて楽しむことができないからだ。「自己啓発書が読める」のは、仕事に活かすことができる情報、すなわち自分に関係があるノイズのない情報を得られるからだ。それでは、「パズドラ」は?

個人的な見解でいうと、『花束みたいな恋をした』では、「パズドラ」はノイズのないコンテンツとして描かれていると思う。ただ、「知識」や「情報」を伴うものではなく、自身の仕事や生活とははなれたところにあるもの、自身の現実に直面していないコンテンツとして表現されているように感じる。なんというか、現実から自分を切り離すための手段というか。

個人的には、「読書はできないけれど、虚無の表情で「パズドラ」をやってしまう心理」について、もう少し深堀りできたらなと思う。仕事が本当に忙しいときって、「知識」も「情報」も遮断して、ただ可愛い猫の動画だけを見ていたいときがあるもんな……(遠い目)。

2024年7月に読んだマンガ

逃げ上手の若君 16巻

おじさんが魅力的過ぎる巻。正直、当初は少年マンガなのにこんなにおじさんばかり登場して良いのかと思っていた(私自身、おじさんの顔を覚えるのが苦手ということもある)。だけれども、16巻ではふたりのおじさん――北条泰家と小笠原貞宗が魅力に溢れ過ぎている。

北条泰家はどっかで裏切るんじゃないかと思っていたが、最後まで北条家のために尽力していた。そして、ようやくその責務から解き放たれるときの心情にごっつい感情移入をしてしまった。そうだよね、そりゃつらいよね。今後は安らかに生きるんだよ……。

また、小笠原貞宗は眼球圧力おじさんかと思っていたが、ライバルであり、師でもあり、時行を敵の立場から理解するものであり、最高おじさんになっている。当初、小者だとおもっていた人が化けて魅力的な人物になるのは、松井先生の真骨頂。

ONE PIECE 109巻

くまをいじめるのやめてください!!

オフ会したらとんでもないやつが来た話 5巻

好きと情熱が詰まった結晶〜!無事に推しのアンソロが出来て良かった。
しかも5巻完結予定がまだ続くのありがたい。まだまだ見守らせてください。私は人間関係構築がど下手なので、こうやって仲間たちと好きをかたちにしてる人を、木の陰から見られる漫画はありがたい。みんな幸せになれ。

恋せよまやかし天使ども 3巻

自分の気持ちに自覚的で、相手の気持ちに誠実で、即断実行の行動力のかたまりで、言語化能力に優れていて、そのうえこんなにも可愛らしい恋心をもつ主人公が存在してよいのだろうか。それくらいに主人公のおとぎちゃんが魅力にあふれている。

恋に暴走するかと思いきや、指先がしびれるくらいに切ない展開があり、でもキュンとするトキメキもあり……本当にこの作品はすごすぎる。発売日されてから3日連続で読み返しては身悶えした。

まるくん~はたらくマルチーズ~ 2巻

カフェの看板犬まるくんがふんだんに顔芸するマンガ。1ページまるまる使ったブサイクな威嚇顔が2巻のハイライト。笑っちゃうし可愛いしで最高。最後にはトキメキポイントもきちんと用意してくるのが良い。面白いとトキメキが入り乱れて、読んでる自分もいつの間にかニマニマと顔芸をしている。

CLAMP学園探偵団

CLAMP展に足を運び、『CLAMP学園探偵団』の主人公・妹之山残様と劇的な再開を果たした。そして再び本作を浴びたいと思い、当時の装丁の単行本を購入した。約20年ぶりにも関わらず、そこには変わらずにお優しい妹之山残様がいて、リアル「また君に恋してる」感を味わっている。

1~3巻のどれも好きだけれど、鷹村蘇芳との出会いと残様の素敵な寝顔が拝見できる3巻が大好き過ぎる。素晴らしすぎてもはや神々しさまである。再び残様に出会わせてくれてありがとうCLAMP展……。

CLAMP学園公式ガイドブック:CLAMP学園のすべて

妹之山残様との再会後、少しでも彼にまつわる情報を摂取したいと購入した公式ガイドブック。この本を買うためだけにメルカリに登録した。初購入にドキドキしたが大変スムーズに取引ができ、貴重な書籍が手元に届いたことに圧倒的感謝である。

私の知らない学園の情報がふんだんに詰まっていて大変にありがたい。小学校のときの私よ、20年後、あなたの知らないCLAMP学園の情報を私は入手するんだよ。残様の新規絵(私が初めて見る絵なので25年以上前の公式絵だが新規と定義する)も見られるよ。あっ、小学生の私、引かないで。仕方がないよ、当時から心はずっとオタクだよ……。

ガイドブックの後半はTRPGの説明書になっている。体験する機会はないと思われるが、CLAMP学園を疑似的に体験できるコンテンツがあるのはとても良いなと思った(小学生当時の私なら絶対やっていた)。

2024年7月に出会ったライブ

Official髭男dism「one-man live 2024 -UNOFFICIAL-」

1年5か月ぶりの復活ライブを浴びてきた。大変に良かった。本当に生きててよかった。最新作のアルバムもとても良いので、全人類に聞いてほしい。

まとめる気のないまとめ

このnote、冒頭の新書と最後のガイドブックの感想にものすごい温度差があるな。


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