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青あざができて悔しい2024年9月に出会った本など

先日、私の勤務する会社に取材をしたいというメディアがおり、その取材立ち合いのため出張をした。事前下見の内容をガン無視して好き勝手に撮影をする。その調整が自分の仕事だと分かってはいるが、ここまで意思疎通ができないのは久し振りだった。

慌ただしく駆け回っていたら、機械に足をぶつけて青あざができた。大人になってからこんな青あざつくることあるんだ……と絶望するくらいの皮下出血。

30歳を過ぎてのケガは完治にとても時間がかかる。くやしい。全然治らない青あざと、あの取材の日に味わった理不尽さを思い出しては涙が出そうになる。むかつくからめちゃくちゃマンガ買った。マンガは精神の栄養剤。書籍購入金額がいつもの倍以上になったが、必要経費だ。

そんなこんなで本とマンガの話である。今月は『廻天のアルバス』という作品がとても良くて、電子と紙でそれぞれ買ってしまった。全人類に読んでほしい。

2024年9月に読んだマンガ

SPY×FAMILY 14巻

1冊の単行本としての完成度が高すぎる。前巻の努力の結果のあとにギャグ回を挟んだと思ったら、未来を担う子どもたちの交流が描かれ、そして最後に物語の舞台となる国同士の歴史的背景と、そこある叶わない恋のエピソード。何だこのマンガは。ドラマ5話分くらいを一気に描いてない?マンガの密度が凄い。

ペンを走らせる音とともに聞こえる「帰ってこい」の台詞が胸に迫る。

HUNTER×HUNTER 38巻

情報量が多くて濃密。船内の抗争が激化していくなか、「諦めと怒りが原動力」というノブナガの言葉をきっかけに、幻影旅団の過去編に突入。

流星街でこれ以上の犠牲者を出さないように自分の人生を捧げるクロロに、ウボォーギンが死ぬまでついていくと伝える場面が切ない。奪われる側から奪う側になることで新たな復讐の種が生まれ、その結果ウボォーさんは亡くなったってこと……?ヨークシン編を再読するとき、私はどんな気持ちで読めばいいんだ……?

逃げ上手の若君 17巻

戦(いくさ)のインターバル短くない……?戦国武士はこんな短いスパンで戦を繰り広げていたの……?ジャンプのバトル漫画もびっくりではないか。

史実を参考にしつつも、マンガとして面白くする仕掛けがたくさん詰まった本作。松井先生のアイデアにはいつも驚かされるが、全金属性帝(全国巡行も可能)の発想はなかった。

宮王太郎が猫を飼うなんて 1巻

ニッコロ・マキャヴェッリに傾倒する小説家・宮王太郎が猫を飼うマンガ。いや、どんなマンガなんだよ。愛猫のニンゲンコロガシことニコロがとにかくかわいい。いや、どんな猫の名前つけてるんだよ。

主人公の宮王が見事に猫にコロコロ転がされているのが楽しい。周囲の人間も奇人ばかりで意味が分からないのに、どの話もきちんと猫あるあるに収束しているのがすごい。

かげきしょうじょ!! 15 巻

卒業公演のキャスト発表、自分のことのようにドキドキしながら見てしまった。彼女たちの晴れ舞台、楽しみだけど物語の終盤が近づいているようでほんのりさみしい……。でも最後まで絶対見届けなくては。

100期生が演じるのは『リプリング』。最後に番外編として掲載されていて、これも凄まじく良かった。主人公と相手役の愛の結末が愛おしくて美しくて、とても切なかった。

魔入りました!入間くん 39巻

こんなお化け屋敷行ったら心臓止まっちゃう自信ある……。シルビアちゃんが絵を描くシーン、鬼気迫るものがあって西先生の創作に対する想いが込められているような気がした。

黄泉のツガイ 8巻

仲間の裏切りにより平静を乱す影森家。アキオの真っ黒な目が怖すぎる。戦いの疲労からユルの身体にも限界が。早くアサとユルに平穏な生活を送ってほしいが、彼・彼女らを取り巻く環境がそれを許さないの何とかして!

合コンに行ったら女がいなかった話 8巻

萩くんと琥珀ちゃんのすれ違いとそれに気付かない萩くんの一途な言葉を聞いて、ふたりの仲が早く進展するように祈るしかない。そして蘇芳さんの笑顔は可愛いが過ぎるので、蘇芳さんと常盤くんの仲も早く進展してくれと願ってしまう。でもこのふわふわとした曖昧な関係もそれはそれで良いというジレンマ。なんだこれ最高。

あ、藤さんと浅葱くんはもうそのままの関係性でいいです。むしろそのままでいてくれください。

死に戻りの魔法学校生活を、元恋人とプロローグから 5巻

オリアナとヴィンセントのドレスを巡る攻防が尊くってしかたがない……。はぁ、もっとイチャイチャしてくれ。これでお互い告白してないって何なの?なんでヴィンセントは素数を数えてるの?とっととくっついてほしい……といっても、簡単にそうはできない想いがふたりにはあるんだけれども。一方でヤナとアズラクの関係にも結末が。なんだこの誰もがつらいやつは。

古々路ひめるの全秘密  1巻

斬新な設定、意表をつくストーリー、そして魅力的な登場人物。マンガのあらゆるエッセンスを詰め込んだ煮凝り――というかもはやブラックホールと化した作品が『古々路ひめるの全秘密』。

主人公のジャパニーズボディーガードである一文字ツグムの新しい護衛対象は、日本の大富豪の娘・古々路ひめる。だが、ひめるは「異世界の勇者の転生体」「銀河帝国の第二皇女」「国際療法組織のリーダーの娘」と、マンガのありとあらゆるような秘密設定をもつ少女であり、かつこれらは彼女がもつ全秘密の氷山の一角でしかない。何その盛りすぎな設定。大谷翔平もびっくりよ。

ストーリーが進むことに矢継ぎ早に明かされていくひめるの秘密と、意味の分からないストーリー展開が面白い。読み終わった後、「なんてマンガを読んでしまったんだってばよ……」という気分になれる。

廻天のアルバス  1巻

RTA(リアルタイムアタック)動画を見るのが好きである。効率の化け物と化した走者たちが、爆速でゲームを進行していく様がとても面白い。なので、「全てを知っているタイムループ勇者の超高速再冒険ファンタジー!」という紹介文に興味をもち購入。

主人公・アルバスは魔王を討伐の旅を何度も繰り返し続ける勇者。一緒に旅する仲間として僧侶の少女・フィオナとともに36巡目の冒険を迎える。

主人公が最短ルートで魔王を倒す。それをかたくなにつらぬく理由が1巻の最後に語られるのだが、つらい。つらすぎる。頑張れ主人公。私もこの物語の行く末を見届けなければいけない使命にかられている。

薬屋のひとりごと 14巻

過去の事件の背景に迫ったり、因縁のあの人物と再開したりしている間に、後宮から連れ去られてしまう猫猫。彼女の周りは本当にトラブルが尽きないな……!

カバー裏の4コママンガが「良」過ぎてこちらこそもんもんとする。考えることは多いけれど、寝る前に頭の中の大部分を占めるのは結局何かっていう話よ。

2024年9月に読んだ本

レヴォリューション No.3

金城一紀氏の最新作が2024年の年末に発表されるとの報を聞き、過去作品を読み返しキャンペーンを始めた。スタートに選んだのは『レヴォリューションNo.3』。とあるオチコボレ男子高校に通う主人公とその仲間たちが「世界を変える」ために奔走する「ゾンビーズ・シリーズ」の一作目。

さわやかでキラキラした青春ではないけれど、泥臭くてカッコ悪くてちょっと間が抜けているときもあるけれど、理不尽なことも大きな悲しみを抱えることもあるけれど、それでも仲間たちと一瞬を駆け抜けた、こんな想い出を共に過ごしてきたゾンビーズのことを少しうらやましく思う。

まとめる気のないまとめ

悔しくて泣きたくなるのを必死にこらえると、とめどなく鼻水が出てくる現象、目と鼻がつながってることを実感するよね。


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